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Practice03-2. CXを飛躍的に向上させる新たなアプローチとは

PracticeDX推進の実用書

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感動CXを届けるためにポイントとなる

「リアルタイム性」と「One to One」を満たすには、

従来のCXアプローチでは限界がある。

データをフル活用し、CXを最大化するための新たなアプローチについて見ていく。

これまでのCXアプローチの限界

 ペルソナ分析、カスタマージャーニーの描画といった、CX(カスタマーエクスペリエンス)向上への一般的なアプローチが大きく変化しようとしている。その変化をもたらしているのが、データとテクノロジーの進化だ。前節で、感動CXには「リアルタイム性」と「One to One」が肝要と述べたが、その実現のためにはデータをフル活用し、CXを最大化する新たなアプローチで挑むことがポイントとなる。

 これまで王道とされてきた従来のCXアプローチは、設定したペルソナからペインポイント(苦痛・不満点)をあぶり出す方法であったが、「リアルタイム性」と「One to One」を満たすためには、いくつかの弱点があった。

  

【従来のCXアプローチ】

  • 検討テーマに則したペルソナを設定し、理解を深める
  • ②設定したペルソナを前提に、カスタマージャーニーを描く
  • ③カスタマージャーニーからペインポイント(苦痛・不満点)をあぶり出し、解消する

  

 まず、ペルソナ分析の真骨頂は特定の人物像の深掘りにあるため、具体化するほどペルソナの理解が深まるものの、その人物像に合致する顧客の数は減ることになる。つまり、設定したペルソナの深層理解を求めれば、顧客のカバレッジを犠牲にせざるを得なかった。

 また、ある特定の時点でのペルソナを深掘りするため、時間経過による影響を踏まえた見直しに弱い面があった。ある断面でのペルソナには合致していても、ライフステージの変化など切り取る断面が変わればカスタマージャーニーも異なるものだが、その変化への対応は難しかった。

 ペルソナ分析ではカバーできない弱点を認識しながらも、これまでは他に選択肢がなかったがゆえに従来のCXアプローチが取られてきた面は否めない。しかし、機械学習や5G、VR・AR・MR(仮想現実・拡張現実・複合現実)など、様々な役者が出揃った今、ようやく限界を超えられるときがやってきた。感動CXを届ける準備を始めるのは、今をおいて他にない。

 新たなCXアプローチは「3次元顧客分析」「データ、インサイト、アクションの連動」の2つの段階で形成される。以下、各段階について見ていきたい。

3次元顧客分析でペルソナ理解の限界を突破する

 デジタルテクノロジーを活用することで、これまで分析したくても取れなかったデータを、よりきめ細かく、そして深く収集・分析できるようになった。

 例えば、ウェアラブルデバイスやIoTデバイスを使えば、あらゆる行動データに加えて、一瞬の感情までデータとして蓄積することが可能となる。蓄積したデータをAIで分析すれば、人の手に比べてはるかにきめ細かな分析結果を高速で得られるはずだ。

 これにより、従来のCXアプローチの弱点は克服できるようになる。ペルソナの深層理解とカバレッジの双方を実現し、さらに時間経過による変化まで即応することができる。分析を3軸方向に拡張することで、ペルソナを「点」ではなく「立体的」に捉え、より的確なCX向上策を実行できるようになるのだ。

     

【3次元顧客分析:ペルソナ分析の3軸拡張】

  • ペルソナ分析のディープ化

 デジタルテクノロジーで取得できる膨大なデータとAIによる深い分析により、ペルソナの解像度が格段に上がる。ペルソナをより深掘りしていくことで得られる多くのインサイト(気付き)が、より的確なCXの実現につながる。

  • ②ペルソナ量産によるカバレッジの拡張

 従来の手法では、せいぜい数パターンのペルソナを描くことで精一杯であったが、AIによる分析自動化で、ペルソナを数百パターンへと量産していくことができる。

 想定し得る顧客のパターンを増やした分だけ、カバレッジは拡張される。そして、究極的には「One to One」へと向かっていく。

  • 時系列変化への即応

 データとAIによって、例えば半年前と現時点で起きた顧客の変化を明らかにすることができる。同一人物であっても、生活環境が変わればニーズも変化する。半年前と同じレコメンドをしていては、顧客に刺さらないばかりか煙たがられる可能性すらある。ペルソナの変化についてウォッチしていく観点も重要となる。

    

 きめ細かなペルソナを設定し、カスタマージャーニーを描いても、現実の顧客が期待通りに行動するとは限らないため、従来のCXアプローチではその瞬間に最も効果的なアクションを起こすことができなかった。

 これはつまり、「リアルタイム性」も「One to One」も満たしていなかったことを意味する。

 しかし、データとテクノロジーの進化によって、まさにその瞬間を逃さず捉え、顧客一人ひとりへの対応を実践することが可能になった。このように3軸拡張された「3次元顧客分析」によって、既存のペルソナ分析では超えられなかった限界を突破し、ペルソナを立体的に理解することができるようになるのである。

感動CXへの回転軸「データ→インサイト→アクション」

 ペルソナの立体的な分析ができるようになれば、その先はデータに基づくアクションで顧客の期待を超えていく感動CXを目指すことになる。そのために重要なのは、「データ群」「インサイト群」「アクション群」の連動を強固にし、データにテコを利かせることである。これをベイカレントでは「データレバレッジ」と呼んでいるが、その内容については次章で詳しく解説する。

 AIを活用することでデータにテコを利かせることができれば、分析結果から新たなインサイトが得られるようになる。これまでのアナログな分析では気付けなかったようなインサイトに基づけば、CXを大幅に向上させるアクションへと通じていくのだ。

 この「データ群」「インサイト群」「アクション群」の連動を実現するには、CXをKGI(重要目標達成指標)とKPI(重要業績評価指標)へ展開し、KPIを向上させ得るデータの調達・分析を、CX起点で考えることから始める必要がある。

 すなわち、どのようなCXを実現したいかを考え、それを分解し、どのようなデータを調達すべきかを決めるということだ。

 一方で、データ起点の有効性も見逃せない。特に顧客接点の最前線に立つ経験豊富な現場担当者ほど、データを眺めるうちに様々なアイデアが膨らむものだ。そうした場合には、データから得られたインサイトと目指すCXとの適合性を常にチェックすることが不可欠となる。

「現場脳」と「データ脳」を連動させる

 「データ群」「インサイト群」「アクション群」の連動をより強固にするには、データ分析者と現場のアクション実践者という「人と人の連動」が何よりも不可欠である。

 データ分析者は「現場脳」を理解し、現場に実装できるようなインサイトを、分析技術を駆使して提供する。それによって顧客と向き合うアクション実践者を支援するのだ。同様に、アクション実践者は「データ脳」を理解し、分析の手助けとなる勘と経験を提供する。それによって得られた有用なインサイトに勇気を持って従うことで、CXとの強い連動が築かれる。

 例えば、店内で周りをキョロキョロ見回している人がいると仮定しよう。その行動が挙動不審者に特有のものなのか、あるいは何か聞きたいことがあって店員を探しているだけなのか、画像データからデータ分析者が判断するのは難しい。しかし、経験豊富なアクション実践者ならば判断できるだろう。その判断基準をデータ分析者に伝えれば、データをインサイトへと転換する分析のアルゴリズムを構築できる。そして、挙動不審者と店員を探している客を画像データから瞬時に見分ける仕組みができ上がれば、それに応じてアクション実践者がすぐにふさわしい声掛けをできるようになる。

 データ分析者とアクション実践者が互いの仕事や考え方を相互に説明し、理解し合いながらアイデアを出し合う。そういう創発の仕組みをつくることが求められているのだ。

 実際にデータ分析者とアクション実践者を緊密に結びつけるためには、両方の言語や思考を理解し、翻訳できる「橋渡し役」がいるかどうかが大きな鍵になる。しかし、「現場脳」と「データ脳」の両方を持った人物は稀である。当面は外部人材を活用することも効果的な手段だと言える。

 ベイカレントはクライアント企業と試行錯誤しながら、橋渡し役の育成にも取り組んでいるが、データ分析者と現場が強固に連動することで、より深くより広いインサイトの獲得とアクションの実践が可能となり、CXが飛躍的に向上することを強く実感している。

 データとテクノロジーという役者が揃った今、「現場脳」と「データ脳」を連動させCX最大化への取り組みをスタートした企業は、足踏みしたままの企業に顧客との距離で大きな差をつけることになるだろう。

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