Practice

DXへの3ステップ

PracticeDX推進の実用書

SHARE

デジタルテクノロジーの進化が、昨今、消費者の価値観変容の大きなドライバーとなっている。顧客課題、そしてその先にある社会課題解決を目指し、デジタルで企業を非連続に進化させる。それを成し遂げるDXにはどうすれば到達できるのか。

消費者の価値観変容が加速している

新たなサービスを提供し続けるサブスクリプションビジネスの伸長や、グーグルによる「パルス消費」というキーワードに象徴されるように、消費者の価値観が変容している。

「パルス消費」とは、スマホ操作中、物を瞬間的に買いたくなったとき、すぐに商品を見つけ、そのまま購入まで終わらせてしまう消費行動のことを指す。AIDMAやAISASで語られてきた既存の購入プロセスは、顧客が興味を抱いてからじっくりと購入に至るジャーニーを検討するものであったが、インターネットで買い物を済ませることが主流となりつつある現代の消費者は、衝動的にためらいなく購入を終わらせてしまうケースが増えているのだ。

インターネット上で買い物を済ませる消費者を対象に、メーカーと消費者が直接つながるビジネス形態、D2C(Direct to Consumer)が注目を浴びている。このD2Cで成果を収めるにはデジタルチャネルを前提に、消費者の価値観に寄り添ったかたちで商品を設計、製造、提供しなければならない。これまでの流通チャネルで売っていたものを、単純にECサイトで売るだけでは、消費者は振り向いてくれない。DNB(Digital Native Bland)という呼称もあるように、デジタルネイティブに受け入れられる新たな商品提供が求められている。

このようにデジタルテクノロジーの進化が、消費者の価値観変容の大きなドライバーとなっている点は言をまたないだろう。デジタルテクノロジーにより、これまでできなかったモノやコトを消費者へ提供できるようになったからであり、デジタルを当たり前のように使いこなす消費者も既存にはない付加価値を求めている。

図表1. デジタルはいまや人びとにとって欠かせない生活インフラ

企業は変わらなければならない。デジタルテクノロジーを活用し、消費者の価値観変容へ適応するのはもちろんのこと、むしろ変容をリードする存在を目指すべきだ。そうでなければ、各企業が我先にと挑むデジタルトランスフォーメーション(DX)競争に生き残ることは難しい。

企業は変わらなければならない。デジタルテクノロジーを活用し、消費者の価値観変容へ適応するのはもちろんのこと、むしろ変容をリードする存在を目指すべきだ。そうでなければ、各企業が我先にと挑むデジタルトランスフォーメーション(DX)競争に生き残ることは難しい。

DXとは、デジタルテクノロジーを活用した抜本的な変革

DXに向かう取り組みは徐々に加速しているが、多くの日本企業において社内の足並みが揃っていない。DXに関する議論が噛み合わないシーンが続出している。画期的な新規ビジネスを投入して売上げを上げたい部門と、明日からでもすぐに自分達のオペレーションを楽にしたい部門では、目指すゴールもアプローチも変わってくるのは当然だ。しかし、その溝を埋めることなく取り組みを続けていることが多い。足並みが揃わない大きな要因はDXの定義が曖昧なこと、およびDXに至る段階の理解が不十分なことにある。実際、各社の取り組みを整理してみると、異なる段階のデジタル変革が一括りにDXと呼ばれており、DXの捉え方にバラツキがある点が見てとれる。

ベイカレントではDXを「デジタルテクノロジーを活用し、従来のやり方を抜本的に変革すること」と定義している。AI、IoT、ブロックチェーンなどの先進的なデジタルテクノロジーを活用し、今までのやり方ではできなかった抜本的な変革につなげることを指す。つまり、「デジタルを使って既存のやり方を少しだけ変えてみた」というレベルではDXとは呼べないのだ。まず社内の意志統一のため、DX が抜本的な変革を目指すものであることを共通認識として持つとよいだろう。

顧客課題、そしてその先にある社会課題を解決するために、デジタルで企業を非連続に進化させることがDXにつながっていく。顧客に提供する価値と、社員のオペレーションの双方の変革を続ける取り組みとなるため、企業進化は突き詰めれば、顧客体験を意味するカスタマーエクスペリエンス(CX)と社員体験を意味するエンプロイーエクスペリエンス(EX)を進化させることに他ならない。

そして、CXやEXを進化させるDXへの取り組みには終わりがない。消費者、それに連鎖する企業が変容し続ける以上、デジタルを軸に自社を進化させ続けなければならないのだ。

図表2. DXとは何か?

◆デジタルテクノロジーを活用し、従来のやり方を抜本的に変革すること

進化させ続けるのがDXであるならば、社内の足並みを揃えるポイントは、DXに至る段階を定義することだ。最初の取り組みが、「試しにデジタルを使ってみた」レベルに留まるのはどの企業でも同じであるが、その先にある抜本的な変革を指すDXにどうやって到達するか。そのロードマップを検討しておかなければならない。

DXへ至るステップの明確化が求められている。

デジタルインテグレーションの先にDX がある

昨今、各社のDXの取り組みは試行フェーズから本格化のフェーズへ移りつつある。とはいえ、大企業であるほど一足飛びに大きな変革を実行するのは難しいものだ。古き遺産を抱える大企業においては、DXは段階的なゴールを設定し、順序立てて進めていくことが肝要だ。

ベイカレントでは2017 年から、DXを段階的に進める3 つのステップを提言している。「デジタルパッチ」、「デジタルインテグレーション」、「デジタルトランスフォーメーション」の3 ステップである。

図表3. DXへの3ステップ

————————————————————————————————-

デジタルパッチ

既存モデルを前提に、チャネルやオペレーションなどの個別領域へ部分的にデジタル適用を図っていく。既存のサービスや業務の延長線上で考えればよく、着手しやすい。また、事業部門内で臨機応変に対応できるため、短期間で成果を出しやすくはある。しかし、各事業部門がバラバラにデジタル適用を進めている段階であるため、企業の全体最適に向けたコントロールをしづらい面がある。

————————————————————————————————-

デジタルインテグレーション

デジタルを活用して既存モデルの高度化・拡張を図っていく。その対象は、ターゲット、提供価値、オペレーション、システムなど幅広い領域にわたる。抜本的な変革に向かって痛みを伴う取り組みとなるため、経営者には相当な覚悟が求められるだろう。また、試行錯誤が必要であり、その過程では環境も激しく変化する。各工程を順序立てて進めるウォーターフォール型の進め方では改革は頓挫する可能性が高く、スピーディーに改革を進めるアジャイル型組織への転換の段階とも言える。

 ————————————————————————————————-

デジタルトランスフォーメーション

既存モデルから脱却し、デジタルを活用した新しいモデルへ自社事業を組み替える。また、新しいデジタルビジネスモデルに適合するよう、組織の構造も抜本的に組み直すため、セルフディスラプションと言うこともできる。革新的なCXやEXを実現し、ディスラプターに立ち向かう企業価値を手に入れていく。

————————————————————————————————-

日本企業の多くは、まだ最初のステップであるデジタルパッチ、もしくは次のデジタルインテグレーションに一部着手した状態に留まっているのが実情ではないだろうか。

まず直近の日本企業にとっては、2ステップ目のデジタルインテグレーションに到達できるか否かが、非常に重要なポイントと言える。デジタルインテグレーションは、既存ビジネスの提供価値やチャネル、オペレーションなど、社内の至るところにデジタルを融合(イ

ンテグレート)させていく。そのため、基幹システムにも手を入れることになるが、「老朽化」「肥大化」「ブラックボックス化」といった問題を抱えるレガシーシステムを刷新せねば、なかなか思うようなデジタル変革は実現できない。これは経済産業省が発信している「2025 年の崖」問題と密接に関係する※。

立ちはだかる「2025 年の崖」を越えられていないがゆえに、多くの日本企業が1 ステップ目のデジタルパッチに留まっているのだ。しかし、変革を目指すうえではなるべく早くDXへと続くロードマップを引く必要がある。足元の戦略に留まることなく、また一足飛びに夢を追いかけるでもなく、3 つのステップを軸にデジタル戦略を構想して進めなければならない。デジタルインテグレーションに到達したその先に、DXへの道筋が見えてくる。

DXを推し進めねば、B2B企業も顧客に置いていかれる

消費者の価値観変容を見据えて、B2C企業はDXの歩を進めていく。当然のことながら、そのうねりはB2B企業へと波及していく。DXを前進させたいB2C企業は、自社のDXの取り組みとうまく融合できる企業とのリレーションを深めようとするからだ。これからはB2B企業であっても相対する顧客、そしてその先にいるエンドユーザーの立場になって考えなければ競争力を失っていくことになる。

例えば、DXを志向する小売企業において、データを高度に活用した商品管理や物流の機能を有する問屋や食品メーカーが、既存の有力取引先からビジネスを奪う事例が多くなってきている。

顧客企業のDXに貢献できるか否かが、B2B企業の生き残りを左右するということだ。

次節以降では、何をどう変革すればデジタル変革を前に進められるのかを掘り下げていきたい。

あらゆる企業にとって、DXは待ったなしだ。

(注釈)
※「2025 年の崖」とは、老朽化した既存の基幹システムが2025 年時点で年間最大12 兆円の経済損失を生み出す可能性を指摘するものである。詳細はXXXを参照。

DXへの3ステップ

Baycurrent-Digital_Practice01-1-1

ダウンロードをするにはニュースレターへの登録が必要となります。
お手数ですが下記よりご入力をお願いいたします。
ご登録完了後、ダウンロードが可能になります。

    貴社名必須
    部署名必須
    役職
    お名前必須
    メールアドレス必須
    メールアドレス(確認用)必須
    電話番号

    個人情報の利用目的と取扱いについては
    こちらからご確認下さい。
    プライバシーポリシー

    個人情報の利用目的と取扱いについて

    SHARE