コロナ禍におけるデジタル活用~今年のクリスマス商戦に向けて~「家の中」で過ごす2020年のクリスマス

2020.12.03

自粛生活の集大成、多くの人が選択しそうな「おうちで過ごそうクリスマス」

 新型コロナウィルス感染症 (COVID-19)の影響で、日本では3月あたりから自粛ムードが高まり、4月7日には緊急事態宣言が発令された。その後、ほとんどの国民が自宅にこもる生活を送るようになり、現在もなお3密を避けた行動を強いられている。年末最大のイベントであるクリスマスにおいても、おそらく多くの人が「家で過ごす」ことを選択することになるだろう。

 我々はビジネス案を検討するにあたり、前回記載したクリスマス商戦のポイントに沿ってマトリクスを用意し、その升目を埋める形でアイデアを創出していった。
  • 縦軸:従来のクリスマスの楽しみ方
  • 横軸:今年のビジネスチャンス

 その際に重要となるのが、デジタルを活用したアイデアを前提とすることである。昨年であれば、わざわざデジタルを使わなくても良いと思われていたサービスであっても、今年はコロナ禍だからこそ受け入れられやすいという好条件が整っている。
 まずは経験をしてもらい、サービスの良い面や便利な点を体感することで、来年以降も使い続けてもらうきっかけ作りにしていく。そのような観点を加味し、アイデアを出した結果が下記の図である。この中で、今年特に注目したいアイデア(図内のオレンジ色の文字)について、具体的な内容をご紹介していく。

アイデア①:それぞれの家に同じ食事をデリバリー

 コロナ禍では店舗に行くことが難しくなり、世の中にはオンライン飲み会が浸透した。このオンライン飲み会、食事やお酒を自分で用意するため、好きなものを食べられるというメリットはあるのだが、一方で、みんなで同じものを食べながら感想を述べ合うことは出来ない。飲み会において、食事は美味しく楽しむだけでなく、会話を弾ませる効果もあるだけに、これは大きなデメリットと言えるだろう。
 そこで、オンライン飲み会でも食事を会話のネタにする動きが出始めている。お勧めのおつまみをECで購入し、友人間で贈り合うサービスなどが登場したのだ。それぞれの家に同じ食事を届けるニーズは徐々に高まりつつある。

 このニーズがクリスマスでは更に顕著になるかもしれない。クリスマスディナーでは普段は食べない特別感のあるメニューが出揃うため、豪華なディナーを別の場所にいる友人や家族の分までまとめて注文し、それぞれの家に宅配するサービスがあると良いだろう。年に一度のディナーを共にすれば、会話を弾ませる効果も絶大となるに違いない。クリスマス気分を盛り上げるためにも、お皿やクリスマスツリーといった装飾品も合わせて配達すると良いかもしれない。

アイデア②:祖父母が孫にECでプレゼントを贈る

 新型コロナウィルスの感染リスクを考え、遠方にいる親戚に会いに行く機会が格段に減った。特に高齢の祖父母にとっては、孫の成長が何よりの楽しみであるにも関わらず、会えないまま年末を迎えるというケースも多いだろう。
 そこにデジタルデバイスを駆使し、テレビ電話でつながることができれば、いつでもオンラインで会えるようになる。祖父母にとっては孫の顔をいつでも見られるし、親世代にとっては遠方の祖父母を見守ることができる。オンラインでつながることは、双方にとってメリットがあると言えるのだ。
 デジタルデバイスに対して、これまで拒否反応を示してきた高齢者であっても、コロナ禍で”会いたくても会えない”という状況に陥った今ならば、デジタルも使ってみようと前向きな気持ちになりやすい。現に筆者の親も、孫の顔見たさにテレビ電話を使いこなすようになった。

 つまり今年のクリスマスは、高齢者をデジタル環境に引き込む最大のチャンスとなるのだ。オンラインでいつでもつながることができる環境を整えれば、ECでクリスマスプレゼントを購入し、孫に贈るというサービスも受け入れられるだろう。
 この機会にECまで使いこなすようになれば、今後のサービス拡充も狙えるようになる。もしかするとお年寄りがお年玉までキャッシュレスで贈ってしまう日が来るかもしれない。

アイデア③:プレゼントリストを用意して贈る

 自粛期間中は買い物の多くをECサイトで済ませるようになった人が多い。この期間に利便性を体感した人は、今後も多くの買い物をECで行う可能性が高いだろう。この背景を踏まえると、Amazonの「ほしい物リスト」のような機能を使ったサービスが面白そうだ。

 Amazonの「ほしい物リスト」には、他のユーザーを招待する機能が備わっている。この機能を使えば、直接会えない友人にプレゼントを直送することができるのだ。現に、誕生日やイベント事があった際に、自分の「ほしい物リスト」を公開する人が増え始めている。送付先の住所をAmazonに登録しておけば、プレゼントを贈る側は品物を選び、決済するだけで良い(もらう側は、住所を教えずにプレゼントを受け取ることも可能だ)。
 ちょっとしたお祝いや感謝、応援の気持ちを、プレゼントと共に届けることができれば、使い勝手の良いサービスになるだろう。プレゼントを贈ることが習慣化しているクリスマスから始めてみると、多くの顧客を得られそうだ。

 このサービスのポイントは、相手の欲しい物がダイレクトにわかるところだ。AIレコメンドのように様々なデータから類推された物を選ぶ方法もあるが、今まさにほしい物を選び出せるわけではない。何をプレゼントすると喜んでもらえるかと、調べたり悩んだりする時間も重要だが、デジタルによるサービス向上が進むことで、的確なプレゼント選びを好む人は着実に増えていくだろう。
 以上、ターゲット顧客もサービス内容も様々な3つのアイデアを例示したが、いずれも去年までは無かったようなビジネスだろう。共通して言えることは、デジタルを活用し、オンラインだけでも楽しめたり目的を果たせたりするという点である。コロナ禍で経験したことを踏まえ、クリスマスではより心に残る体験に昇華させることができるか。この観点がビジネス商戦でチャンスをつかみ取る糸口になると言えるだろう。

 次回の第4回では、「店やホテルで楽しむクリスマス」について、ビジネスチャンスをお伝えしていく。家の中で過ごす場合はオンラインだけで完結する楽しみ方があるが、店舗に行く場合はリアルとオンラインを融合させる考えが必要になる。ぜひ、その辺りの違いを意識して、お読みいただきたい。

チーフエバンジェリスト 八木 典裕

大手IT企業を経て現職。金融・製造・通信などの業界を中心に、IT 戦略立案から実行まで幅広く支援。直近は、DX、新規ビジネスの創造などをテーマとしたプロジェクトを主導。
ブロックチェーン、AIの技術研究や実証実験もリード。
主な著書に『デジタルトランスフォーメーション』『3ステップで実現するデジタルトランスフォーメーションの実際』『データレバレッジ経営』(共著/日経BP 社)などがある。

マネージャー 関口 夏葉

大学院卒業後、現職。金融、消費財、産業財、ハイテクなどの業界を中心に、DX、オペレーション改革、システム刷新などのテーマに従事。
クライアントと良好な関係を構築し、共創型でプロジェクトを推進することを得意としている。

デジタルマーケティング担当 金澤 佑依

大手小売店を経て現職。デジタル・イノベーション・ラボ所属。
金融、通信、ユーティリティなどの業界を中心に、オペレーション改善や新規事業立案といったデジタル関連テーマに従事。 デジタル・イノベーション・ラボでは国内外のデジタル事例調査・研究、ベイカレントのデジタルマーケティングを担当。

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