技術ドリブンでは手詰まりになってしまう新規事業
巷をにぎわす画期的なプロダクトやサービスは、往々にして新しい技術や考え方を活用した部分にフォーカスが当たる。そのため、新規事業に挑む企業が、技術検証に白熱してしまう傾向が目立つ。仕方のないことかもしれないのだが、これまで成功を収めた企業は、技術活用だけに注力したわけではない。顧客の悩みを解決する事に情熱を注ぎ、自分事と捉えて解決方法を考えた結果、手段として新たな技術や考え方を活用してきたのである。
ドラッカーも、「事業の目的は顧客の創造である」と説いている。新規事業に行き詰まっている際には、「顧客は誰か」、「顧客の真の困りごとは何か」、「困りごとを解決するのは何か」という、思いの込もった顧客のストーリーを探求することに立ち返ることをお勧めする。
では、具体的にどのように進めたらいいのか。ここからはアイリスオーヤマの事例から考えてみたい。ユーザーの本質的なニーズに応える「なるほど家電」を打ち出し、成長を続けている同社の営みにはきっとヒントがあるはずだ。