ではどうすれば良いかであるが、ブロックチェーンが活かされるニーズも考慮すべきということだ。その具体例としてエコシステム(プラットフォームを提供する企業と、それを活用してビジネスを行う企業の共存関係)によってもたらされる世界が考えられる。
エコシステムによってインターネット上のあらゆるデータが保管されるようになると、ウソの付けない世の中がやってくる。そこでは自らの履歴データが自分自身を証明する手段となるため、データの真正性を担保してくれるブロックチェーンは無くてはならないテクノロジーとして扱われる。あらゆる場面でスマートコントラクト(賢い契約)が実行されるようになると、自分自身で意識することなく支払いを行っているというケースまで出てくるため、どこかの大企業がデータを担保してくれるという訳にはいかなくなる。
この先、IoT(「モノ」がインターネットに接続され、情報交換で相互を制御する仕組み)を駆使することで、究極的にはすべての行動履歴が記録されるようになると言っても過言ではない。このようなエコシステムを実現するには、本人確認を確実に行えることが前提となる。そもそも、インターネット上では相手が信頼できるか疑わしい場面が多いが、この問題を解決してくれるのがブロックチェーンに他ならない。生活のあらゆる行動履歴を管理してくれるパブリックなブロックチェーンが登場すると、成りすましや詐欺といった犯行への対処が容易になる。
その理由の一つは、身に覚えのない行動があれば成りすましにすぐ気付けるという点だ。スマホアプリなどを使って、いつでも自分の行動履歴を確認できるようになると、自分の行動を振り返って、あり得ない履歴があれば気付けるようになる。さらに人工知能(AI)を駆使すれば、怪しい履歴を検知してくれるようにもなるだろう。
次に、インターネット上で見知らぬ誰かと取引する際に、相手の過去の行動履歴から信頼性を確認できる点が挙げられる。過去にたった2、3回しか行動履歴の無い人がいれば、不正なIDを使っているのではと疑うだろう。
エコシステムによって、人々が意識しない何気ない行動まで漏れなく見られるようになるため、同時にウソのつけない世界が広がる。行動のすべてがインターネット上で明かされるのはプライバシー上の問題もあるため、見せ方や使い方は考慮が必要だが、不正のできない世界にはなっていくだろう。