色々と物議を醸した「ブラックペアン」
そもそも治験とは、そのイメージ通りリスクの高い医療行為であり、年間国内で600件ほど実施されているなかで、アクシデントによる死亡例もあるものです。治験は「プロトコール」という治験実施計画書に則って実施されるのですが、このプロトコールに逸脱した行為や事象が少しでも発生するとアクシデント判定され、最悪の場合は治験が中止される事態となります。このようなアクシデントを起こさないように安全に治験を進めるのがCRCの役割なのですが、時として患者側の用法・用量のうっかりミスや医療従事者側の計測モレ等でもアクシデントが発生します。私がコンサルティング・プロジェクトで垣間見たCRCの方々は、自らの直接的なミスではないアクシデントまで背負い込み、「もっと患者様と会話しておけば良かったのではないか」「もっと看護師と打合せをしておけばよかったのではないか」と強い責任感で仕事をされている方が多い印象でした。ですので、劇中で表現されたCRCの姿は、ドラマ上の演出とはいえ大きな違和感を覚えたというのが率直な感想です。