Digital Blogss

「DX先進企業のCDOには、変革を主導できる納得の共通点があった」

Digital Blogsコンサルタント記事

  • Home
  • Digital Blogs
  • 「DX先進企業のCDOには、変革を主導できる納得の共通点があった」

SHARE

CDOのバックグラウンドに変化あり

CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)像が変化している。

 様々な企業のCDOとお会いさせていただく中で、最近強く感じていることである。この感覚は妥当なものなのか。その点が気になり、Japan CDO of The Yearの受賞者を、年を追って見てみると面白い変化に気づいた。
 受賞者が、黒船CDOから重鎮CDOへ変化しているのだ。2017~2018年は、ユニリーバ・Facebookなどを経て日本初のCDOとなった日本ロレアルの長瀬氏、日本IBMから転身した三菱ケミカルホールディングスの岩野氏らが受賞。一方で、2019~2020年は、味の素の福士氏など重鎮CDOの受賞が続いている。

 そのような気づきを得た今年の4~5月にかけて、DXを前進させているクライアントのCDOと対談する機会を得たのだが、ここでも抱いていた感覚の妥当性が実証された。お会いしたCDOは皆そろって黒船型ではなかったのだ。三菱UFJ銀行の大澤氏、アフラックの二見氏、JERAの奥田氏とも多くの実績を積み上げ、社内に顔がきく重鎮である。
 このようなバックグラウンドの変化の裏には何があり、それがCDOの要件にどのような影響を与えているのだろうか。DX先進企業のCDOの共通点に目を凝らせば、それが自ずと見えてくる。

DX先進企業のCDOに見られる3つの共通点

対談させていただいたCDOには、大きく3つの共通点があった。その共通点は、以下のようなものだ。

① 「組織」を動かすボタンを押せる

企業には、ここを押せば動くというその企業特有の”ボタン”がある。関係者は、それぞれ何を動機に動くのか。誰をどの順番で動かせば、組織という大きな山が動くのか。お会いしたCDOは、それら組織力学を踏まえたボタンを熟知しており、加えて、そのボタンを押せる組織上のパワーも持ち合わせていた。まさに、組織を動かせる改革者なのである。
DXは一部社員による局所的な取り組みから、全社的な変革へとフェーズが移りつつある。CDOとして成果をあげるには、「組織」を動かすボタンを押せることが欠かせないのである。

②「人の心」を動かすキラーワードを持っている

DXを全社的に推進するうえでは、社員一人ひとりの心を震わせ、DXを自分事と思ってもらわねばならない。社員の心が震えるのは、然るべき人から、結晶化されたキラーワードをぶつけられたときだ。その意味で、3人のCDOは周囲が認めるデジタル変革者であり、皆特有のキラーワードを持っていた(具体的なワードは後ほど紹介する)。3人からキラーワードを聞いたとき、込められた想いの強さが伝わり、私もハッとさせられた。きっとこれが社員を動かすのだと思う。

③パッションにあふれている

対談の際、3人が部屋に入ってくるなり、その場の空気が変わったのは印象的であった。全身からパッションがあふれ出ていたのだろう。そのようなパッションの渦に私も引き込まれ、言葉を交わせば交わすほど気持ちが高揚していったことを覚えている。そこには、この人と仕事をしてみたいと心から思う自分がいた。DXへ挑む船に社員を乗り込ませるのは、最終的にはパッションなのだ。

私の心に刺さったキラーワード

ここで、➁で触れたキラーワードをCDOごとに具体的に紹介したい。どれも共感と気づきのあるワードであった。

 1人目は、三菱UFJ銀行のCDTOの大澤氏。そのキラーワードは「本部が現場」である。
デジタルサービスへのシフトを進めていくと、eコマース企業と同じく、商品企画や事務プロセスを受け持つ人員とお客様との距離がぐっと近くなる。間にいる有人店舗がなくなって、お客様とダイレクトにつながるからである。だからこそ、本部行員は”本部が現場”だという感覚を持たねばならない。そういった大澤氏の強い想いが、このワードに表れているのだ。

 2人目は、アフラックのCDIOの二見氏。キラーワードは「そうぞう力」である。
二見氏の考えるDX人材に求める要件とは、2つの「そうぞう力」であるという。1つは、イマジネーションの意味での「想像力」で、デジタル技術によって世の中が今後どう変わっていくのか、自分の仕事がどのように変わっていくべきなのかなど、一人ひとりが自分で想像する力である。もう1つはクリエーションの意味での「創造力」で、想像した世界を実現する力を指す。二見氏から発せられる言葉を聞くほどに、2つを磨き上げることを通じて、企業理念である「新たな価値の創造」を体現するのだという覚悟が伝わってきた。

 最後は、JERAのデジタル変革をリードする副社長の奥田氏。キラーワードは「ルネサンス(人間復興)」
 デジタル技術を使いこなせば、就業時間の8割を占めていたルーティン作業から社員を解き放つことができる。デジタル変革の本質の一つは、自身の時間とパワーを価値創造に振り向けられることにあると奥田氏は言う。トップとしてルネサンスをリードするという意思を、奥田氏から強く感じた。

“デジタル知見”、“動かす力”、”経営層の視座”を併せ持つのが、新たなCDO像

 ここまで、DXを前に進めているデジタル変革責任者の共通点と、具体的なキラーワードを見てきた。これらからわかることは、大企業で変革を前に進められるCDOは、「組織」と「人の心」を動かす力を備えていると言うことだ。①から③としてあげた共通点は、どれも”動かす力”に直結するものばかりだ。そして、これまでの経験や視座などが、”動かす力”をより強いものにしている。
 まず①と➁は、自身が属する企業を引っ張ってきた経験に裏打ちされている。「①「組織」を動かすボタンを押せる」は、経験とそれを通じた社内への影響力の大きさがなせる業であるし、「➁「人の心」を動かすキラーワードを持っている」も、経験があるからこそ何が刺さるかがわかる。加えてキラーワードについては、経営層だからこそ見える景色が言葉に力を与えているのだろう。そして何より、「③パッションにあふれている」ことが、成果への推進力を力強いものにしているのだ。

“デジタル知見”だけでなく、経営層の視座とパッションを持って”動かす力”を有するCDOこそ、デジタル変革が全社的なものへと移りつつある今、求められるCDO像なのである。

執筆者 Profile

常務執行役員 CDO / デジタル・イノベーション・ラボ室長則武 譲二

専門分野
経営戦略×DX、CDOアドバイザリー

ベイカレントにおけるDXコンサルティングの統括責任者。
デジタル関連のプロジェクト、研究活動、人材開発などを管掌する。
ボストン コンサルティング グループ、大手IT企業を経て現職。
主に企業戦略および事業戦略の策定、DX、新規事業の立ち上げ、マーケティング、営業改革などのテーマに従事。
主な著書に「データレバレッジ経営」(共著/日経BP社)、「DXの真髄に迫る」(共著/東洋経済新報社)がある。

SHARE

  • Home
  • Digital Blogs
  • 「DX先進企業のCDOには、変革を主導できる納得の共通点があった」