デジタルトーク

2021.06.11

共通 今こそAIによる業務効率化を始めよう ~AI電話サービスに学ぶ活用法~

過度な期待の時期を越え、地道な成果を出し始めたAI

 新型コロナウィルスの影響で、奇しくも企業のデジタル導入は進んでいる。三密回避や非接触の対応を進めるために、オンライン化(オンラインミーティング、オンライン授業、オンライン行政サービスなど)の取り組みが盛んな印象だ。
 一方で、以前からデジタルテクノロジーの主役であったAIやIoTなどは、コロナ禍で影響力を発揮しているようには見えない。おそらく、テクノロジーに対する期待値と今すぐに実現できることとのGapが大きく、思ったほどの成果があがっていないからであろう。これはガートナー社のハイプ・サイクルにおいて、「幻滅期」の谷底に差し掛かっている様子を見ても明らかだ※1(注:幻滅期とは「実際の成果が出ないため、人々の関心が薄れる時期」を指す)
※1日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2020年<ガートナー社>
 ただ幻滅期は、これから実用的に使われ始めるというポジティブな面も持ち合わせている。「AIは何でも解決する」、「AIによって人の仕事が奪われる」といった幻想は消滅し、現実的な活用方法を模索し始める段階に移ったということだ。
 例えばコロナ禍で、店舗や建物の入り口にはAIを活用した体温検知カメラが当たり前のように配備されるようになった。その他にもさまざまな生活シーンでAIの活用は進んでいる。ECサイトでの買い物、YouTube閲覧など、ネット上で何かを探す際にはAIがお勧めを教えてくれる。スキャナにAIを組み込めば、レシートを読み込むだけで家計簿を自動作成することも可能だ。
 これら事例は夢のような使い方ではないが、AIが確実に効果を発揮しているといえるだろう。そんな中、“今”のAIをうまく活用し、電話業務を省人化・効率化できるクラウドサービスが登場した。株式会社NTTドコモから提供されている「AI電話サービス」だ。

音声認識精度の高さを生かし、多くの課題を解決する「AI電話サービス」

 2020年12月10日に株式会社NTTドコモ(以降ドコモ社)から提供開始となった「AI電話サービス」は、一言でいうと「AIを活用した受架電業務の自動化」である。ドコモ社が長年培った音声認識技術を活用し、電話の受架電を自動化させることで、企業の電話対応業務やコールセンター業務の効率化を支援している。昨今ではコロナ禍における三密回避や社員のリモートワークを推進するために、「AI電話サービス」が導入されており、社会課題解決につながる検討が進んでいる。
 このサービスにおいてポイントとなるのが「AIは音声認識にフォーカスしている」という点だ。音声の種類によって次の反応や回答を変化させるシナリオをあらかじめ作りこんでおき、話者の発話(音声)を認識することで自動応答を実現している。下記の画像は見守り対応のデモを実施したものだが、はい/いいえといった二択や、定型的な応対の範囲に限らず音声を認識し、最適な回答や投げかけを行っている。実際に使ってみると、認識精度や対話能力のレベルの高さに驚かされる。(実際の音声によるやりとりについては下記リンクの動画から確認して頂きたい。)
<デモ画面キャプチャ>
 AI電話サービスは提供開始からまだ半年程度だが、既に多くの業界で商用導入および実証を進めている。特に奈良県で実施されている高齢者の見守り対応の事例(上述のデモ画面)については、複数の報道発表※2がなされ、Goodデザイン賞※3や世界3大デザイン賞のIF DESIGN Award 2021を受賞※4するなど、各方面から高い評価を得ている。

 こちらの事例は、「体調はいかがですか?」という質問に対して、「元気」、「良い」、「問題ない」などの回答であれば次の設問に進む。逆に「重い」、「だるい」という回答であれば、症状を詳しく聞く質問や家族に連絡するなどの判断を行う質問に進んでいく。こういった具合でやりとりが進んでいくわけだが、サービスを利用したお年寄りの方からは「言葉がはっきり聞こえ、自然に話せることがうれしい」といった感謝の反応が多かったようだ。
 音声認識にフォーカスしているAI活用であるにも関わらず、人間の感情にも良い影響を与えている点は驚きだが、その裏にはサービス提供者の努力の結晶が存在しているのだ。シナリオを作成する専属担当が、利用シーン毎に顧客の思考や感情を徹底的に考え抜き、顧客に寄り添ったシナリオを作り上げることで、人間と話していると錯覚するほどの幅広い応対を実現しているのだ。

 AI電話サービスは音声認識精度だけでなく、精巧なシナリオ作りによる対話完結率の高さが評価され、幅広い利用シーンで電話業務効率化を果たせると注目を浴びている。
 飲食店等の予約受付やタクシーの配車予約、注文した製品の納期の確認や返品の申請、ガス等のインフラの利用開始依頼など、「定型的な会話で電話応対が完結するケース」で悩みを抱える企業から引く手あまたの状況だ。無論結果も出しており、某インフラ企業における利用停止解除での実証実験について、応対件数の約75%を無人対応で完結することができている。この業務の年間問い合わせ件数は現状約40万件(1通話平均13分)であるが、AI電話サービスの導入により今後年間約30万件を無人対応できる見込みだ。
<利用シーン一覧>
 つまり定型的な電話応対業務には、多くの無駄な人的工数があるということだ。今世の中にある技術で成果が見込めるのであれば、早急に業務の自動化に取り組み、人的工数をより付加価値の高い業務に振り分けていきたいものだ。

優れた技術の活用のために段階的な目標を設定しよう

 今回はAI電話サービスを例にとって説明したが、冒頭触れた通り今ある技術で業務効率化に寄与しているAI関連サービスは数多く存在している。企業としては積極的な検討をお勧めする次第だ。そして、検討にあたって大切なポイントとなるのが、「段階的な目標設定」である。
 AIは将来的には人間の話す内容の意図まで解釈し、適切な回答を返すようになると想像できるが、残念ながら今はまだ現実的ではない。そこで、将来的には電話業務をAIだけで完結させる未来を描きながらも、直近でも対応できる課題解決を目標に掲げてアクションを取っていくことが重要だ。

 最初は小さい目標であっても、達成すれば次のステップに進む足掛かりになる。またそのステップを踏むことで、チャレンジした自信と経験が積み重なっていき、次の目標に向けた課題や対応方法を明確にすることができる。「段階的な目標設定」の重要性を認識し、“今”の最先端技術を活用しつつも、目標を一つひとつ達成していくステップで、多くの企業が変革を推し進めていくことを期待したい。
※1 ガートナー、「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2020年」を発表
※2 報道発表資料
AIが電話応対業務を代行する「AI電話サービス」の提供を開始(株式会社NTTドコモ)

奈良県とAIを活用した地域包括ケアシステムの推進に関する連携協定を締結
 ※AI×電話を活用したみまもりシステムにてご紹介

高齢者見守り AI電話(読売新聞2/9掲載記事)


※3 GOOD DESIGN賞 受賞内容紹介
GOOD DESIGN AWARD 2020

 ※審査員の方からのコメント
 “このユニークなサービスが賞賛されることは間違いない。最新のAI技術を利用し、人間中心のデザインアプローチを取り入れたこのモニタリングサービスが提示するメリットは、多くの家族の反響を呼び、高齢者ケアにおいて重要な役割を果たすようになるだろう。

※4 IF DESIGN Award 2021受賞

 ~IF DESIGN Awardとは~
 ドイツ・ハノーファーを拠点とする、デザイン振興のための国際的な組織インダストリー・フォーラム・デザイン・ハノーファー(iF)が1953年から主催し、毎年全世界の工業製品等を対象に優れたデザインを選定する取り組み。 IDEA賞(アメリカ)、レッドドット・デザイン賞(ドイツ)と並び「世界3大デザイン賞」と呼ばれている。

シニアコンサルタント 清水 翼

大手通信会社を経て現職。
IT、通信、運輸業界を中心にDX戦略立案や、新規事業企画支援、業務改革支援、プロジェクト管理に従事。IT卸売業における営業経験を活かした、購買コスト削減やベンダー協業推進の知見も有する。

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