新規事業開発で “市場と呼吸する”ための具体的なアクション
では、“市場と呼吸する”を実践するために、どのような行動をとるべきか。その具体的なアクションを3つご紹介する。
アクション1:まずは市場の空気を吸いに行く
自身のアイデアや知識を吐出する前に、まずは顧客候補や協業候補からヒアリングする(市場の空気を吸う)ことを徹底的に意識すべきである。自分の固定概念を覆す新たな意見に触れることができれば、アイデアへの大きな参考となる。
アクション2:吸い込んだ空気を自分の空気に変換する
しっかりとヒアリング相手の意見を聞きつつも、意見に溺れるのではなく、「どの価値を提供すればCX高められるか」という観点で、自分自身が深く理解できるまで検討を繰り返していく。ヒアリング相手からの情報を盲目に信じてしまうと、真のニーズを拾えない可能性が高い。現に保育園の園児も、状況に応じて本当の気持ちを表現しないことがある。
アクション3:新たな空気を組織内に送りこむ
新たなニーズにたどり着いたら、最後は組織内に空気を送る仕組みを作ることだ。その際、特に重要となるのが担当者を設置することである。担当者は、社内の同調圧力に屈しない立場や気概のあるメンバーをアサインすべきである。社内の旧態依然とした文化に流されてしまうと、市場と呼吸した結果がサービスに生かされない。
更に、担当者以外の協力も不可欠だ。新たなニーズを収集した場合は、エクセルに打ち込むでも、ポストイットに書き留めるでも良いので、組織内に展開することを忘れないで欲しい。担当者はそれを一元管理する。時系列やヒアリング対象の属性(顧客候補、競合候補、パートナー候補)等でまとめることで、常に新鮮な空気を組織内へ送り込むことができ、組織全体で“市場と呼吸できる”環境を構築できるだろう。
顧客ニーズを掴むためには「ヒアリングすれば良い」とシンプルに解釈をしているケースが多い。前述した2種類の空気(新鮮な空気と外の空気)を吸った上で、自分の空気に変換するまで実施しないと真にニーズを掴めたとはいえない。今回ご紹介した“市場と呼吸する”ことを意識して新規事業開発を進めることで、多種生産時代に合ったサービスを提供できる可能性が高まるだろう。