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2020.06.24

共通 “占いを信じるロジック”をAIレコメンドに当てはめると、顧客の満足度は向上するのか!?

何故、人は占いを信じるのか

この記事をご覧になっている方の中で、占いを信じる人はどれくらいいるだろうか。直観や感覚で判断する傾向にある女性には、占い好きが多いと言われる。私自身も例にもれず占いが好きで、プライベートで様々な体験をしてきた。「中野の母に通う」、「渋谷のマンションの一室で守護霊を見てもらう」、「中華街で手相を見てもらう」、などなど。

朝のニュース番組に登場する12星座占いや血液型占いとは違い、“いいお値段”の鑑定料を払って対面する占い師の場合、まず過去の出来事やその時の気持ち、自分の性格、行動パターンなどをズバズバと言い当てられる。「どうしてそんなこと分かるの!?」と驚愕するほど、占いの”力”を信じていく。自分の心の底にある想いを言語化してもらうと、自分のことを改めて理解することもできる。そして、気付かせてくれた占い師のことを、「私のことを本当に分かってくれる人の中の一人だ」と、家族や長年の親友と接するかのように信用する。

その占い師から、自分自身の性格や行動特性に則したアドバイスをもらうと納得感があり、その上で未来に向けた助言をされると、信じて行動するようになるだろう。すっかり信用しきった占い師から「これを持っていれば運気があがる」と勧められたなら、高い水晶玉ですら買ってしまうかもしれない。

このような「占いの顧客を信用させる術」からヒントを得て、現在のマーケティング活動において極めて重要であるCX(顧客の体験価値)を改善させることはできないだろうか。ECサイトにアクセスすれば、ほぼ必ず登場する「AIを使ったレコメンド機能」に、適用させる可能性を考えてみた。

AIレコメンドは満足しにくいCX

AIレコメンドとは、ECサイトやWEBページ内でのユーザーの行動履歴から、その人の好みや趣味趣向を分析し、関連商品をお勧めすることで新たな購買意欲を掻き立てるプログラムのことである。サービスを運営する各社は、機械学習やディープラーニングを駆使して精度を向上させている最中にある。

主要ECサイトAmazonにおいても商品レコメンドは日々研究されており、複雑なアルゴリズムを実装したレコメンドエンジンが動いている。しかし、利用者のAmazonに対する不満の声で最も大きいのが、適切でない商品レコメンドに対するものであった。
商品レコメンドを利用者に納得してもらえる精度に高めていくことが、極めて重要ということがわかるデータであるが、改善策はひたすらAIの精度を上げれば良いという訳ではない。まず、商品レコメンドは「利用者の2種類のニーズに応えるもの」ということから理解しなければならない。
一つは、「あなたが欲しいものはこれですよね?」という“利用者がすぐに理解できる顕在ニーズ”に対するレコメンドだ。そしてもう一つは、「あなたはきっと、これが欲しくなりますよ!」という“利用者自身も気付いていない潜在ニーズ”に対するサジェスチョンである。

顕在ニーズに対するレコメンドの場合、検索したワードとの関連度が強いものばかりであれば、ありきたりで自分のために考えられたレコメンドとは認識されない。一方、検索ワードと関連度が低い商品をレコメンドすると、なぜお勧めされているのか分からないと感じる利用者から、「欲しくない商品を勧められた」と思われてしまう。
潜在ニーズに至っては、工夫をしない限りは「欲しくない商品を勧められた」と思われることが大半であろう。利用者がそもそもニーズに気付いていないため、そのサジェスチョンが正しいかどうかを判断できないからだ。

このように、商品レコメンドで「欲しくない商品を勧められる」と思わせている原因には、アルゴリズムが改善の途上という技術的な問題もある一方で、“レコメンドの届け方”という、CX観点の問題も大きいということが分かってくる。

占いに学ぶAIレコメンドの活路とは

占いにヒントを得て私が導きだしたAIレコメンドの活路は、「過去を言い当て、助言に納得感を持たせ、信用を獲得する」という、占い師が顧客を信用させる術をCXに当てはめることである。

近年では、3rdパーティデータを利用できるプラットフォーム事業が増えており、利用者のアカウント情報にWebサイトでの行動履歴(検索結果や購買履歴)を集約し、分析することが容易になっている。集めたデータをもとに、利用者のライフステージ、趣味趣向などを割り出せば、過去を言い当てたうえで、利用者に沿った商品をレコメンドできる。ただし、ここまでは現状のAIレコメンドでもできていることだ。
この先更に改善が必要なのは、商品をレコメンドするまでの過程だ。「なぜレコメンドしているのか」という因果関係を言語化することで、利用者に納得感を持たせることができていく。

例えば、つい最近、私自身が体験した具体例をもとに説明する。
新型コロナウィルスの対策でSTAY HOME期間が続くなか、ECサイトでApple TVを購入することにしたのだが、サイトの画面上にはセット購入の候補として「HDMIケーブル」がレコメンドされていた。Apple TVとTVを接続するためにはHDMIケーブルが必要となるため、お勧めされていたのだが、その情報を知らなければ購入に至ることはない。そればかりか、商品が届いてからHDMIケーブルが必須であることに気付くと、レコメンドの不親切さに怒りすら覚える可能性もある。
このケースで本来必要だったのは、レコメンドに納得感を持たせる明文化だ。『Apple TVにはHDMIケーブルが同梱されていませんので、お持ちでなければセットで購入しませんか?』といった説明を付与しておけば、購入する可能性は高い。
レコメンドしている理由がメッセージとして添えられるだけで、買う必要があるかどうかを判断でき、結果的にレコメンドに対する満足度が向上することになる。

AIレコメンドの先へ

そして、占いの真骨頂である「信用を獲得する」レベルまでAIレコメンドの存在感を高めるには、潜在ニーズへのサジェスチョンが欠かせない。占いの場合、占い師への信用が深まれば、未来への助言が自分の想定していたものと違ったとしても、信じて行動するようになる。これと同じロジックをECサイトでも実現できれば良いということだ。

上述したように、「あなたはきっと、これが欲しくなりますよ!」という利用者自身も気付いていない潜在ニーズに対してサジェスチョンを行っても、最初は信じてもらえない。まずは顕在ニーズに沿った納得感の得やすいレコメンドから始め、「言われた通り購入して良かった」という利用者を増やしていくのだ。利用者はこのサイクルを繰り返し経験することで、ECサイトに対する満足度が信用に変換されていく。
十分に信用した状態で、ECサイトから潜在ニーズに沿ったサジェスチョンを受けると、納得感を持つことはできなくても、「このサイトにお勧めされるなら間違いないだろう」と購入する可能性が芽生える。そしていずれ、「この商品を買ってよかった」と気付けた時に、ECサイトへの信用が一気に高まり、次なるお買い物へと繋がる正のスパイラルが生まれるだろう。

このように占いを信じるメカニズムからヒントを得て、AIレコメンドのCXを劇的に改善できる可能性はありそうだ。しかし、現在のAI技術だけでは、レコメンドの理由を明文化することは難しい。AIは万能ではないからこそ、実は人間がじっくり考えて行動することが重要となるのだ。
AIレコメンドだからと自動化ツールに任せっ放しにするのではなく、人間が考えて顧客の信用を得られる施策を打つことが必要だ。マーケティングオートメーションにおけるシナリオ作りは顧客の身になって綿密に行い、「何で私の欲しいものがわかったの?」と驚かれるくらいの精緻なレコメンドに仕上げたい。
“AI”と“人の考え”が融合することで化学反応を起こし、「このサイトは本当に私のことを分かってくれている」と顧客から絶大な信用を得られるまで、レコメンドの精度が向上していく。そんな未来を夢見ながら、私はAIに寄り添ってシナリオ作りを進めたい。

マネージャー 関口 夏葉

金融・製造などの幅広い業界を対象に、デジタルを活用したIT戦略立案や、
業務改革、システム導入/刷新等のプロジェクトに従事。

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