<無人レジ>
近年、個人的に大きな不便を感じる瞬間が、毎朝/昼のオフィス街のコンビニの大行列だ。これに対しては、無人レジの導入は非常に有効となる可能性があり、現時点でも効果は出ているだろう。朝昼の大行列時のみではなく、店員が仕出しや調理をしている時などの活躍も想像できる。
しかし実態としては、都心のコンビニでたまに見かける程度かつ、利用者もそれほど多くない印象である。理由は2つ考えられる。
1つ目は、技術の導入自体が体験向上に直結しないこと。直接的な体験だけを切り取ると、現金の支払い→スマホでピッといった直接的な(決済の)体験向上とは異なり、無人レジを利用することでのお買い物体験は、自分で商品の袋詰めをしなければならない分、直接的な(買い物の)体験は低下するだろう。
2つ目には、単純な安心感が理由として考えられる。不慣れな無人レジを操作して、動かなかった場合を想像すると・・・、はい、店員さんのいるレジに並びたくなる気持ちはわからなくはない。
これら、無人レジの利用に関する障壁を取り除き、私が不便に思っていることに立ち向かうには、一定数の利用者が参加したうえで、間接的な(行列改善といった)体験向上に結び付ける必要がある。XX Payとまでは言わないが、ポイントバックキャンペーンなどで、無人レジの利用を促すことはできないだろうか。人間、慣れてしまえば、次回以降は反射的に無人レジを選択できると思うのだが・・・。有人レジ1台に変え、無人レジ2~3台を配置することで、朝昼行列の解消を図っていただきたい!
<顔認証>
コンビニの煩わしさの第二位が成人認証だ。私は酒もタバコも買う。まぁ、レジをタッチするだけでいいのだが、できることなら無くしてもらいたい。そこで、顔認証を用いて成人認証をしてもらえやしないだろうか。AIで判断に迷うラインは今まで通りレジタッチ、明らかにオッサンの場合はレジタッチ無し。AIに若いと判断される喜び・AIにオジサン認定される悲しみが新たなUXとはならないだろうか。
<RFID>
2025年に向けて政府が導入を推進している。これにより、レジでのバーコード読取時間が大幅に短縮さるため、店員の空き時間を確保できるだけではなく、製造~輸送~販売/廃棄の情報が一元管理可能となる。
また、前述の無人レジにおける直接的なお買い物体験の向上や、消費期限間際の商品へのダイナミックプライシング(夕方のタイムセールのような)・食品ロス削減、精算前商品の万引き防止といったセキュリティ対策=無人店舗の課題解決にも役立つことが期待される。
しかし、ありとあらゆる商品に対して製造(包装)段階で埋め込む必要があるため、1タグ当たりのコストの問題や、厳しい環境下(冷凍や電子レンジ加熱)での耐久性能などの課題解決が必要な状況であるため、本格的な導入までには少し時間が必要となるだろう。とはいえ、夢のある技術なのでその動向に注目していきたい。
<ビーコン>
最近ローソンでLINEを開くとからあげクンをゲットできる
キャンペーンを実施していた(これのためにLINE友達になってしまった・・・)。
これはローソンの店内に居ないと参加できない仕掛けになっていたのだが、これの裏で動作していたのがビーコン(正確にはBluetooth Low Energy)という技術だ。Bluetoothを利用した狭い範囲に限定した通信技術であるため、特定の位置にいるかどうかを識別することができる。
今はアプリ(LINE)を起動しないと使えないが、iBeaconという規格ではバックグラウンドで動作可能。バックグラウンドで動くというのが重要で、IoTと組み合わせることで「(冷蔵庫から)牛乳が少なくなっています」や「(電子タバコから)タバコが切れそうです」など、個人的なお買い物忘れに対して的確なレコメンドを出してもらえるようにはならないだろうか。もはや介護の世界だが。
<モノタロウ・ローソンスマホレジ>
Amazon Goは最先端技術に加え大きな資本に支えられているが、より簡易に無人店舗を開設する試みも始められている。セキュリティ面は完全ではないため、特定の施設内での店舗に限られるが(今回の出店は佐賀大学)、事前登録→入店時にゲートで認証→購入はレジ不要、スマホアプリで精算、という最低限無人店舗たるUX、かつ実現可能な技術・予算で店舗運営が可能な仕組みを提案している。
(参考:モノタロウ「
佐賀大学内に初の店舗をオープン」)
同じようにローソンでもスマホレジなるものの導入を始めている。これも最初に記載した無人レジを超えて、大行列対策には大きく貢献できるはずではある。しかし、導入段階ゆえに、対応店舗がかなり限定的であり、標準となるまでの普及は遠いように思える。キャンペーンも開催しているが、やはり皆新しい体験にコンサバなのだろうか。いずれにしてもローソンの試みには今後も期待したい。
昔から些細な不便を解消することで、利用者によりよいUXを提供してきたコンビニ。現在の私の不便もきっと解消してくれるに違いない。無人店舗実現の前にも、デジタルを有効に活用することで更なる真価を発揮してほしい。