デジタルトーク

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2019.01.17

共通 デジタル時代のオペレーション見極め

オペレーションのデジタル化は佳境へ

海外に比べて遅れていると言われている国内大手企業においても、DXは具体化の段階へ進展しつつある。特に目覚ましいのは、RPAに代表されるオペレーションの効率化であり、働き方改革の機運の高まりを背景に即効性の高い労働時間短縮策として、様々な業種・業態でデジタルレイバーの活用事例も増えてきた。

しかし、RPA導入を進めた大手企業に効果を伺うと返答は必ずしも芳しくない。「業務量は緩和されたが、人件費削減までには至らない」、「ロボットにより既存作業は代替されたが、部分的な活用にとどまっている。むしろ、新たな作業が生まれ人が対応している」等の声が多い。狙った効果を得られていないのだ。

デジタル化はあくまで効果を得るための手段である。オペレーションDXというと、ノンコア業務のデジタル化にまず取り組む企業が多い。実際、経理業務や、人事業務、営業サポート業務などがデジタル化のファーストターゲットになることが多い。しかし、デジタル化の本来の目的は自社のコアとなるオペレーションを見極め、強みを損なわずに効率化を実現することにあるはずだ。そして、この目的を達するには、デジタル化の可否、要否の2つの観点から、オペレーションDXの取組み対象と、取組み方のスタンスを見極めることが肝要だと言える。

デジタル化の対象を見極める

<可否の観点>
(1)労働時間削減目標を命題として与えられ、(2)それを達成するためにRPA化できるオペレーションを洗い出し、(3)手当たり次第RPA化を進めている、というアプローチ方法を何度か目にした。

人の代替をするデジタルレイバーが増えれば削減目標は達成できるかもしれない。だが、その労働時間削減の先に自社のサービス発展は見えているだろうか? 何でもデジタル化すればよいというわけではない。自社の強みを支えている重要なオペレーションを機械的にデジタル化してしまうと、強みが損なわれる可能性がある。

例えばあるサービス業では、カスタマーへの懇切丁寧な応対が評価されており、大きな価値だが、仮にこれをチャットボット等のデジタルレイバーに置き換えてしまえば、価値がなくなるかもしれない。

一方で、既存のカスタマーコミュニケーションをより高度化させるため、カスタマーコミュニケーションの周辺業務をデジタル化することで、時間短縮だけでなく、より詳細な情報を頻度高く収集可能とし、今ある強みをさらに強化できるかもしれない。

コア業務の位置付けはオペレーションのデジタル化の在り方を指し示す

コア業務の価値を損なわないデジタル活用のあり方を見つけられるのは、その業務に精通した自社だけなのかもしれない。もしそのような自社ならではのデジタル化の在り方を見出すことができれば、それはIP化して別の収益を生む可能性もある。自社の強みを今一度見直すよい機会なのだ。


<要否の観点>
自社の貴重なデジタルリソースの投入先として、ノンコア業務が本当に適切なのだろうか? 自社の強みに関する議論の延長線として、本当に自社でデジタル化を図るべきことなのかを見極めてはどうだろう。

RPAやAI導入によるデジタル化はこれまで社内で属人的に行われていた作業や判断の代替を可能とする。デジタル化により従来人が担っていたオペレーションを代替できる範囲は拡大している。実は思い切ったBPOが、デジタル化時代に大幅な効率化を実現する選択肢となるかもしれない。BPOベンダーはデジタル技術を活用して業務を研ぎ澄ませている。それが彼らのコアコンピタンスだからだ。自社で同じようなことをしても、「車輪の再発明」に終わるだけで効果は少ないかもしれない。
BPO事業者のデジタル化取組事例

テクノロジーの発展は置き換えの歴史であり、デジタル化もその流れを汲む

デジタル化を含むテクノロジーの進化の歴史は物事の置き換えの歴史である。物事が別の物事に置き換わるとき、意識の有無にかかわらず、常にその真価が問われている。デジタル化の潮流はその流れを加速し、従来よりも専門性を強みとした「分散と補完」の時代を作るのではないだろうか。デジタル化はモノからコトへの置き換えであり、オペレーションは作業から状態へと変化するのではないか? その時、オペレーションはより細分化され、ロボット、人、マイクロサービスとの高度な連携がその状態を作り出すようになるはずだ。

カスタマーがサービスを選ぶ際、そのサービスにおけるオペレーションの在り方がサービスの選択を左右する度合いは高まるかもしれない。デジタル化とともに叫ばれている、「CX最重視」の本質がそこにあるのではないだろうか。

シニアマネージャー 塚田 哲正

SIerを経て現職。
公共・製造・メディア系企業を中心に、新規事業企画、業務改革、組織風土改革等に従事。
サービスの提供価値向上を目的とした戦略策定、制度設計、実行支援等、上流構想からオペレーション変革に至るまでの一貫した支援に携わる。

登録タグ:RPA AI