デジタルトーク

2018.12.21

通信 SDNの進化にみる、通信インフラの未来

従来よりもさらに求められる経営のスピード

社会はスピードを求めている。他社の追随を許さない圧倒的なスピード経営こそが、世の中を勝ち抜く手段であるということを、多くの経営者は理解している。インターネットが誕生し、情報があふれている現代、競争力あるビジネスモデルを、いかに素早く市場に提供できるかが、経営の優劣を決めるといっても過言ではないだろう。「ITが絡まない経営など存在しない」と言える今だからこそ、ITがスピード経営の足枷になってはいけないはずだ。

こうして経営スピードが否応なく加速する中、それを支えるものとして、クラウドによるサービス提供が進んできた。クラウド化の進展が、ITにおけるQCDのすべてを向上させつつある。クラウドにより、経営にITを素早く投入することが可能になったと言ってもよい。

例えばグーグルでは、B2Cだけでなく、B2Bに対してもクラウドによるサービス提供を実現している。単なるアプリケーションサービス提供だけでなく、サーバレスの提供や、DevOpsといった開発のスピード向上を図る環境の提供、セキュリティに関するサービスの提供まで幅広い。また、Amazonはさらに提供範囲を広げており、AWSのなかで、AI技術であるMachine LearningのサービスやIoTのサービスなど最新技術を提供している。

一方で、クラウド化が進むほど、サービスのバリューチェーンの根幹であるネットワークは重要になる。しかしながら、いまだに、B2Bのネットワークは開通に何週間もかかることも多く、スピード向上の大きなボトルネックになっている。

SDNの登場と、浮彫りになった課題

一昔前にSDN(Software Defined Networking)という概念が生まれた。それは、ソフトウェアで物理装置をラッピングし、ネットワークをソフトウェアで制御していくという概念だ。OpenFlowという標準仕様により、「データ転送(Data Plane)」と「経路制御(Control Plane)」の機能を分離したアーキテクチャを採用している点が特徴だ。

ここで重要なのは、既存のネットワークに対するスピード向上と、新規のネットワークに対するスピード向上で、SDNに求められる機能が異なることだ。

既存のネットワークについては帯域の拡張、経路の変更などのサービス変更をスピーディに行うことが求められる。これは既存のSDNで対応可能だ。

一方、新規のネットワークについては、「どことどこを結ぶにはどのルートで通すか」、「通すときもどの回線に含めれば効率よいネットワーク設計ができるか」が重要であり、それをいかに高速に実現(設計+設定)できるかが求められる。ネットワークのクラウド化実現に当たっては、新規のネットワークに対するスピード対応が重要であるが、既存のSDNでは対応し切れない。

では、どういう問題がそこにあるのだろうか? SDN対応を実現するに当たっては、以下の2つの課題があると言える。
  ① レギュレーション問題
  ② 物理装置の在庫問題
①は、上述したように、End to Endでネットワークを結ぶ際、どこを結ぶ、どこを通す、どこに入れるなどを決めることである。現状では、経験と需要感による匠の技によりネットワークのレギュレーションが決定されている。

②は、物理装置がない・足りないところにネットワークは引けないため、そのマネジメントをいかに行うかである。需要が発生した時の装置追加と、装置に故障が発生した場合の装置切り替えだ。

次世代ネットワークの実現に向けて

以上のような、新規ネットワークに対するスピード対応上の課題を解決する一つの方法として、SDN+AIが挙げられる。匠の技は、AI活用で克服可能だと信じている。ましてネットワークというデジタルの世界では。また在庫問題は、IoTによる物理装置の状況診断をもとに、AIを活用した故障予測診断や需要予測診断を実施することで対応可能と考える。

昔から、ITはよく、人間に例えられる。サービスを提供するアプリケーションが、人に何かをしてあげる手や足そして口であるなら、サーバのCPUは心臓、メモリは脳であり、ネットワークは血管である。複雑な脳や力強い心臓があったとしても、それを手・足などにいかに効率よく伝えるか、正しい太さで、正しい流れで、正しい密度で血が流れていかないといけない。人間は環境に合わせて、自然と何も考えずに最適に自身を変えることができる。ITもそうなりたいものである。

パートナー 内堀 公章

アクセンチュア、IBCSを経て、現職。
通信、金融、製造、小売等、多数の業界を経験。
特に、CRMを中心にサービスを提供。
チャネル戦略、業務改革、オペレーション改革、ITなど、業務、ITに絡んだプロジェクトも多数実施。
また、大規模プロジェクトのプログラムマネジメントの経験を豊富に有する。

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