デジタルトーク

2018.02.27

ハイテク 時間はどこへ行った?時短家電の提供価値

時短を価値として普及する、現代の「三種の神器」

時短家電、という言葉を目にしたことはあるだろうか。家事の時間が節約できる、大変便利な家電たちのことである。代表的な例はロボット掃除機のルンバ。ボタンを押すと勝手に部屋の中を動き回り、ごみやほこりを集め、電源のポートまで自分で戻ってくれる。乾燥機付き洗濯機も時短家電の代表といえるだろう。洗いたい物を洗濯機に入れてスイッチを押すだけで、すっかり乾いた状態にまで仕上げてくれるため、洗い終えた物を洗濯機から取り出して一つひとつ干していく、という手間と時間が省ける。食洗機も外せない。食事のたびに食器を洗う手間と時間がかからなくなる。共働き世代の増加に伴って注目されるようになったこれらの製品は、ここへきて「新三種の神器」と言われるようにもなっている。それほど「時短」という効果へのニーズは高いということだ。仮に、掃除機をかける時間を15分とし、洗濯物を干す時間を10分としよう。食器は朝晩の2回、10分ずつだと想定すると、合計で1日あたり45分の時短が実現する。現代人の日常生活にとって45分の余裕は非常に大きい。
 
調査会社シードプランニングによると、ロボット掃除機市場は2008年には3万台だったが、2018年には90万台まで拡大するという。また、日本電機工業会の国内出荷統計によると、乾燥機付きの洗濯機はここ3年間で毎年100万台が出荷されている。同様の調査で食洗機は毎年70万台以上とされ、食洗機トップメーカーであるパナソニックによると、これまでの累計販売台数は1,000万台を超えたという。日本の世帯数は約5,430万世帯。上記の数字を踏まえると、新三種の神器もだいぶ普及してきているといえる。

家事で浮いた時間の使い道は?

20年前と比べて家電が進化・普及した現在、家事はかなり楽になり、結果として飛躍的な時短も実現しているはずである。そこで総務省の統計データ「社会生活基本調査」で確認をしてみると、1996年の家事関連(家事,介護・看護,育児、買い物)に使われていた時間は、女性が3時間34分、男性が24分間。それが2016年になると、女性3時間28分、男性44分間へと変化している。家事の多くを担っているであろう女性の家事に係る時間が6分しか減少していなかったのである。
 
どうもおかしい、と思って内訳をみてみると、女性の家事の時間は減っているのだが、そのぶん育児の時間が増加傾向にあり、プラス・マイナスで時間が相殺されていることがわかった。特に6歳未満の子供がいる世帯について、その傾向は顕著に出ている。妻の家事時間は20年前と比べて1時間1分の減少し3時間7分、育児時間は逆に1時間2分増加し、3時間45 分となっていた。つまり当初の想像通り、家電の時短効果もあって「お母さんの家事」自体は大きく時短されていたのである。そしてこれまで家事に取られていた時間が、まるごと育児に振り分けてられているわけだ。
 
時短家電によって削減された家事の時間は、こどものために使われている。そう考えると、時短家電の価値は、お値段以上、ではなかろうか。(もちろん、単身者にとっても便利であることは間違いないが。)

マネージャー 鈴木 典子

外資系コンサル、ヘルスケア系事業会社を経て現職。
デジタル・イノベーション・ラボ所属。
現在は金融・ヘルスケア業界のリサーチ、提案支援に従事。

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