デジタルトーク

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2018.02.13

銀行・証券 ビットコインは次のサブプライム・金融危機の誘発剤

ビットコインの生みの親、サトシ・ナカモト

今回のブログのタイトルをもしも知られたら「そんなことはあり得ない。断じて許さない」などとサトシ・ナカモトに叱られそうだ……昨晩「バンキング・オン・ビットコイン(Banking on Bitcoin)」というNetflixのドキュメンタリーを見ていて、ふとそんなことを考えた。
 
彼は続けて、「だってそんなことが起きたら本末転倒だからだ」と付け加えるだろう。謎だらけの人物。今では世の中の大半が耳にしたことがある「ビットコイン」の発案者。もとをたどれば、ビットコインとは「幾度となく人々の信頼を裏切ってきた中央集権型バンキングシステムへのAlternativeソリューションとして作られたアンチ・テーゼ」。そんなビットコインを発明し、一世を風靡したのがサトシ・ナカモトである。だが、彼はその後、2010年頃にはネットマップから姿を消してしまい、当時の仲間たちも彼がいったい誰だったのかを特定できずに今に至る。実在する人間であったかすら、今となっては確認する術がない「幻の人物」なのだ。

眠り続けていたビットコイン

そもそも仮想通貨の概念は1990年代から存在し、サイファーパンク(Cypherpunk)と呼ばれる専門家集団のホビーのようなものであった。彼らは独自の仮想通貨を限られた人の間で流通させ、その優位性を競っていた。その中で代表的なものが5~6つ残り、中でもビットコインの雛形とも言われているビットゴールドというものが注目を浴びた。しかし、信用や用途に欠けることから普及せず、現実に流通している通貨と仮想(ネット上)で使える通貨の接点が見出せないまま、深海深く眠っていたのである。
 
2008年の金融危機が訪れるまでは、仮想通貨のような別のソリューションの必要性があまり感じられていなかったことも原因の一つと言える。紙幣は中央で管理し、中央は信用の場を担う。それで経済は成り立っていた。しかし2008年のリーマン・ショックで世界の考えも一転。この仮想通貨を提唱していたCypherpunkがにわかに注目され始めた。それでも、信用を取引する上で仮想通貨は上手にリスクを分配する解を見いだせずにいた。「ブロックチェーン」という考えが発案され、実行されるまでは。以上のような様々な背景を踏まえてみると、おおよそ2011年頃から仮想通貨の考え方が一気に加速し始めたことも納得しやすい。
 
では、普及の加速に貢献したブロックチェーンとは何なのか?これは簡単には説明できない。ブロックチェーンは絶対消えることのないデータ、データのTraceabilityを証明し、それを非中央集権で実現してくれる。つまり「あるビジネスに依存しない魔法のシステム」である。その優位性に気づき、今では各銀行が独自の開発とネットワークにこのブロックチェーン技術を導入している。

ファイナンシャルクライシスは始まるか

しかし、ここへ来て話題を呼んでいるように、ビットコインの値上がりが加速すればするほど、バブルの懸念と「金融危機」を促すメッセージがメディアから聞こえてくる。そのカタリストとなっているのはビットコインの先物取引市場参入で、明確に統制やリスク管理ができていない中、普通に他の金融商品と同等に取引が進められているからだ。
 
「フィナンシャルクライシスが始まるのであれば、その可能性は先物市場にある」と富豪のピーター・フィー氏は説く。また、JPモルガンCEOのジェイミー・ダイモン氏は同社に勤務する全トレーダーに対して、声を大にして「ビットコインを取引するやつは、即、クビだ!」と忠告をしている。

2009年から幾度の浮き沈みを経験してきているビットコインやEthereumだが、確実に言えるのは、長期的に勝負し、ポジションを取った投資家達は大儲けをしているということ。そして今、仮想通貨に興味を持っている人たちが長期的な視点に立つために自問自答しなければいけないのは、「デジタルの通貨が長期的に普及するか否か」の判断である。もし、長期的にこの仮想通貨が流通し続け、さらにそのスピードが加速すると予測するのであれば、ビットコインみたいな仮想通貨はまだまだ伸びしろがあるのではないか、と思ってしまう。逆に、新たなディスラプター、例えば量子コンピューティング等がビットコインをさらに凌駕してしまう、という風に未来を展望しているのであれば、現状の価格はすでに過熱感があるのであろう。

Source:
"Banking on Bitcoin" NETFLIX
"Bitcoin Futures Could Trigger Lehman-Style Collapse" Fortune
"How Will Bitcoin Perform During The Next Financial Crisis" NEWSBTC

エグゼクティブ・パートナー 服部 周作

戦略系コンサルティング会社、スタートアップ企業を経て現職。
ハイテク、自動車、通信、製造の各業界において、事業戦略の立案、新規事業の立ち上げ等のプロジェクトに従事。グローバルにおけるガバナンス強化、人材育成などの海外案件を得意とする。
著書に『47原則-世界で一番仕事ができる人達はどこで差をつけているのか』、共著『デジタルトランスフォーメーションの実際』。