デジタルトーク

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2018.02.20

共通 AIの次なる進化により何が起こるか

「誰でもAIを構築できる時代」が到来する!?

 Googleが2017年に、AIに関する新たな取組みを以下のように発表した。
 

 Googleが進める『AutoML』プロジェクトでは、AI構築すら“AIによる自動化”によって実現しつつある。将来的には、この技術を使うことによって、たとえプログラミングが出来ない人であっても、目的に応じてAIを構築できるようになる。



 「AutoML」とは、機械学習の最新技術である「Learning2Learn」や「転移学習」を活用することで、プログラミングや大規模な教師データが無くても、高精度なAIの自動構築を実現可能にするものである。

 これは、AIの進化における新たな方向性を感じさせるものであり、AI導入におけるユーザーの敷居を下げる「親化」と呼べるだろう。AIの進化はこれまで、機械学習の一手法である「ディープラーニング」を起点として、特定用途におけるAIの質、すなわち精度とスピードを高めていく「深化」と、新たな用途にAIを適用させていく「新化」が中心であった。具体的には、「深化」は高精度での画像認識や音声認識の実現、「新化」は自動運転や対話エージェントへの適用などである。しかしながら、「深化」「新化」の中で問題視されてきたのは、AIを構築できる人材、すなわち「データサイエンティスト」の圧倒的不足である。この問題は、Googleも同様に抱えており、先述の「AutoML」―AIによるAIの自動構築―もその解消を目的としたものだといえる。更にいえば、この「AutoML」はGoogle社内向けに留まらない。Googleからの招待制で利用できる企業は限られるが、2018年1月に、画像認識用「AutoML Vision」のα版を、社外向けに提供開始している。

 以上のように「AutoML」技術が確立し、広く一般利用できるようになったとしたら、ユーザーの負担が下がることは間違いない。しかし、本当に「AI人材がいなくても、あらゆる企業が手軽にAIを構築できる時代」がやってくるのであろうか。

AIの汎用化が実現するまでは、AI人材の有無による格差が顕著化していく

 私は、「逆に企業ごとのAI人材の格差が顕著に拡大していく」と考えている。「親化」が進むとはいえ、1つのAIで種々の用途や機能に対応できる「汎用型AI」の実現は、まだまだ先と想定される。直近においては、特定の用途や機能にのみ対応できる「特化型AI」に限定されるだろう。やはり何でもAIに、というのは難しい。

 「特化型AI」では、企業の課題や活用ニーズに応じて、最適なAIを選択していく必要がある。各AIによって、対応可能な領域/不可能な領域や、得意領域/不得意領域が存在するからだ。また、企業固有の用途には、用途に合わせたデータやモデルの最適化が必要となり、一定のカスタマイズは必要となる。すなわち各企業には、「どのような用途にどのようなAIを活用できるのか、を判別できるAI人材」が必要になる。「AutoML」のような技術により量産されるであろう特化型AIを、いかに「目利き」していけるか……それがより重要になるということだ。例えば、数値予測はこのAI、結果のYes/No判定はこのAI、画像認識は・・・といった感じだ。

 ではAI人材がいない企業はどうすればいいのか? 結局のところ、AI人材を確保するか、AIの汎用化、すなわち「汎用型AI」の実現を待つしか選択肢はない。ただ、「汎用型AI」の実現はまだまだ先であり、その間にも、AI人材を保有する企業との間に水を空けられてしまう。そうした格差を極小化するためにも、AI人材が乏しい企業は、最低限の敷居を乗り越えるための、最低限の「目利き」人材を確保しておく必要があるのだ。

ビジネスとAIとを繋ぐ「データプランナー」が必要

 それでは、ここでいうところの「最低限のAI人材」とはいかなるものだろうか? AIを構築できる「データサイエンティスト」までのレベルは必要ない。AIの企画ができる「データプランナー」こそが上記でいうところの「目利き」人材だ。

 もしもこの「データプランナー」を確保できた場合には、大きな役割が2つ求められることになる。1つ目は、AIによる打ち手の構築である。企業課題に対し、必要なアウトプットと活用可能なデータを踏まえ、AIで対応可能な部分とそれ以外を切り分けるとともに、必要なAI機能の定義をしていく役割のことである。もう1つの役割は、AI導入に向けたアプローチ設計だ。AIの効果最大化に必要なインプットデータや、最適なツール/アルゴリズムを選定していく役割である。

 しかしながら、現在の人材市場の実情を見れば、「データプランナー」でさえもすぐに獲得することは難しいと想定できる。こうなれば、相応しい人材の育成を内部で進めざるを得ないところだが、AI技術の進化スピードの速さを考えると、企業側の対応は待ったなしの状況かもしれない。今後は、Googleの「AutoML」をはじめとするAIの進化動向はもちろんのこと、それに対する企業側の対応も注視していきたい。

マネージャー 宮崎 晃

政府系金融機関、総合コンサルティングファームを経て現職。
金融・ヘルスケア・メディアを中心に、ビッグデータアナリティクスを主軸として、業務改革や戦略立案など多数のプロジェクトに従事。直近では、データサイエンティストとして、AI・機械学習の構築まで行い、企業におけるラピッドプロトタイピングを支援。