デジタルトーク

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2018.01.23

保険 ボッタクリとの遭遇を機に考えた、保険ビジネスの将来(前編)

ラスベガスの小さな土産物店にて

先日、ラスベガスへの出張があり、その際にロードサイドの小さな土産物店に立ち寄った。小学校1年生になる息子から、トランプ大統領のTシャツを買ってきてほしいとせがまれていたからだ。若い女性店員が現れ、3,000円でTシャツに好きな写真をプリントしてくれるのだと案内してくれたので購入することに。

ところが、いざ会計をしようとすると、今度は屈強そうな男性店員が現れ、16,000円の支払いを要求してきた。いわゆるボッタクリだ。一瞬払ってしまおうかとも思ったが、何回も繰り返している手口に違いない。悔しくなり、懸命に騒ぎ立てたら向こうが諦めた。

リスク管理の4つの方法

息子の嬉しそうな顔を思い浮かべながらの楽しい買い物が、ボッタクリに遭遇してしまったせいで、怖いやら、悔しいやらで、気分の悪いものになってしまった。土産物屋でボッタクリに合わないために、自分にできたことは何だったのだろう? 私が思いついた、一般的なリスクマネジメントの考え方は4通り。「軽減」「転嫁」「回避」「保有」だ。
事前にガイドブックやネットをチェックしていなかった私は、不用意だったとしか言いようがない。特に備えをしていなかったため、リスクが顕在化したときには、もう「保有」するしかなかったのだ。あらかじめ、私が利用した土産物屋は危ないという口コミでも見ていればそこに立ち寄らないことで、ボッタクリに合うリスクを「回避」できただろう。

デジタルの可能性

実はこのラスベガスへの出張は、InsureTech(=保険業界のFintech)のコンベンションである”InsureTech Connect 2017”へ参加するためだった。米国を中心に、欧州、アジアなど40以上の国から、スタートアップ、保険・再保険、投資家、規制当局関係者3,500名以上が集合。そこで交わされた議論からは、今後の保険業界の動向が垣間見えた。
 
昨今のデジタルブームにおいてベースとなっているのは膨大かつ、精緻化された情報(データ)だ。スマホやセンサー、先進的な解析技術などで、今までアナログな方法でしか把握できなかった様々な状況をデジタルデータとして可視化したり、集積したものをビッグデータとして解析し予測に活用したりする。これが、デジタル活用の典型例だろう。

口コミを事前に読んで情報収集することでボッタクリの土産物屋に立ち寄るリスクを「回避」できるように、保険ビジネスにおいてもデータの精度が上がることで元々存在していたリスクは変容してくる。私はそう考えた。そこで、先に挙げたリスク対応策の4つのキーワードを、保険業界の未来に当てはめてみると、大きく2つのリスクに対する考え方の変容が見えてきた。(後編に続く)
 

パートナー 鈴木 邦太郎

アクセンチュア株式会社を経て現職。
通信・メディア・ハイテク、保険を中心に、新規事業立ち上げ、IT戦略立案、業務改革、社風醸成など多数のプロジェクトに従事。
共著書に『デジタルトランスフォーメーション』。