デジタルトーク

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2017.12.25

銀行・証券 ビットコイン、天翔ける龍の如し

異常なまでの高騰を見せるビットコイン

最近ビットコインの動向が激しさを増しているような気がする。実際、メディアの報道は熱くなる一方だ。

私も約一か月半前に、友人から勧められて興味をもったのだが、仮想通貨はその時期と比較しても3倍近い値上がりを見せている。当時、ビットフライヤーによると65万円~70万円台の価格をつけていたビットコインが、12月11日時点で購入価格200万円を超えているのだ。

これほどまでの値の上がり方を見せられてしまったのだから、私としても「え?」と声が裏返る。なぜこんなにも値上がりをしているのかを追求してみたくなる。そこで、その理由を考えてみた。

高騰を支える、根源的な3つの理由

ウェブ上にある理由を整理すると以下の3つに集約される
 
 1) ビットコインは米国でも先物取引が上場へ
 2) 大手銀行からの外部規制と介入・管理の欠如
 3) メインストリームへ移行するであろうという期待感

しかし、上記のような理由ではこれだけの人気に対する説明がつかない。もっと根源的な理由として、以下の3つのポイントを挙げてみた。

 A) 仮想通貨をこよなく信じ、一億円になるまで手放さないと決意している愛好家
 B) 紙幣価値が危ぶまれている国々の投資家達にとっての、ビットコインの安心感
 C) その真の価値はUtility(実用性)によって推進されているという事実

上記の3つのポイントは、TechCrunchや複数メディアの著名な記事をまとめてみた結果である。現に、CoinDeskによるとビットコインの市場価値(Market cap)は既に20兆円(200BN USD)を突破しているという(参考:グーグルの市場価値が720BN程度なので、その約3分の1程度まで急成長したということ)。こうも人気があると「手をださないと千載一遇のチャンスを逸してしまうのでは」、という脅迫観念に駆られる人が続出していても不思議ではなくなってくる。

ただ「いくらならば妥当なのか」がまったく見えない化け物に投資するのは、やはりリスクが高すぎる。日本の投資家の間では「バブル化し、投機対象にしかすぎないので要注意」というようなメッセージが主流となっている。

ビットコインはサブプライムローンの再来か

昨晩も海外から来日した資産家で、リーマンショックの前はリーマンでトレーダーをしていた方と食事をしたので、ビットコインについて聞いてみた。すると、「最近アジアではタクシー運転手やスーパーの店員が買っているようだから、もうバブル感はヤバイね。勝ち組はもう抜けている」というような回答が即座に返ってきた。マーケットのことを知らない人たちが手を出した挙げ句、破綻をしたサブプライムのことを、想起していたのかもしれない。

サブプライムローンについての過去のメディア記事を探っていく中で、見えてきたのは「誰も、何も、予測できていない」という共通の呼びかけ。記事の執筆者たちの大半は懸念の声を大にし、警告し、バブルの兆候を知らせていた。サブプライムローンとビットコイン。時とテーマは違えども、同じ話が連呼されるだけだ。

遡ること6年半。2011年5月、International Herald Tribuneによる最初の報道は、ビットコインについて、こう書いていた。

“This abstract gold may not survive what looks like a bubble…The latest run-up looks decidedly frothy,” と言い、今日の出来事でもコメントをしているかのような響きだ。
(日訳:「バブルのように見える今の現象をこの抽象的な金‐キン‐(ビットコインのこと)は生き残っていけないのではないだろうか。最新の盛り上がりかたも明らかにバブル/くだらない」)

当時のビットコインの価格は約USD9ドル程度。その2か月前に比べ9倍に跳ね上がっていた。「あ~買っておけばよかった!」は抜きにして、この上昇気流、いつまで続くのか。

天翔る龍の如し、などと表現をしてしまうと夢見がちな気分に陥りそうではあるが、値の上がり方が「夢のよう」なのか「異常」なのかをしっかり見極める必要はある。私はそう考えている。

エグゼクティブパートナー 服部 周作

戦略系コンサルティング会社、スタートアップ企業を経て現職。
ハイテク、自動車、通信、製造の各業界において、事業戦略の立案、新規事業の立ち上げ等のプロジェクトに従事。グローバルにおけるガバナンス強化、人材育成などの海外案件を得意とする。
著書に『47原則-世界で一番仕事ができる人達はどこで差をつけているのか』、共著『デジタルトランスフォーメーションの実際』。