デジタルビジネスでの壮大な勘違い

 デジタルビジネスでは、実用最小限のプロダクト(Minimum Viable Product)から始めて、顧客の反応により大胆にビジネスモデルを転換する「リーンスタートアップ」というコンセプトが浸透している。顧客に製品を実際に使ってもらい、その反応を見て、ビジネスモデルの修正点を明らかにしていく。そのサイクルを繰り返しながら、顧客への価値を磨き込み、顧客を急激に増やすティッピングポイントを目指していく。

 一方で、「リーンスタートアップ」の一面だけを切り取った勘違いも増えてきている。アイデアを次々に試していくだけで、デジタルビジネスの成功が約束されるというものだ。デジタルビジネスであっても、顧客に提供したい新たな価値が明確になっていないと、従来のビジネスと同様に成功はおぼつかない。デジタルビジネスはプラットフォーム上でのサービスという形をとることが多く、そこで代替できるサービスを探すのも、乗り換えるのも簡単だ。そのため、顧客を惹きつけ続けるだけの価値がより強く問われる。

 顧客への新たな価値として、デジタルビジネスで注目されているのが経験価値だ。製品の中で、顧客に提供したいカスタマーエクスペリエンス(CX)を明確にして、それを価値として顧客に問いかけていく。顧客が反応しなければ、異なる観点から次なるCXを提案していく。そのトライ&エラーを通じて、顧客が反応するCXを見つけ出す。しかしながら、提供するCXの検証ポイントを明確にしていなければ、何が当たったのかも分からない。デジタルビジネスでは、「リーンスタートアップ」というコンセプトの下で、CXとして何を検証しているかを明確にするプロセスを確立することが必要なのだ。

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