顧客接点でのデジタル活用デジタルマーケティングの基本

デジタルマーケティングでは「トライ&エラーの受容性が高い」という点で、従来のマーケティングと異なる。従来のマーケティングが、いわば一発勝負の「トーナメント戦」とすると、デジタルマーケティングは、一定期間の総合力が試される「リーグ戦」なのだ。

トーナメントではなくリーグ戦。だからこそ、発想を変えて、従来のマーケティングのプロセスを作り変えていくことが必要だ。新たなプロセスとして、マーケティングシナリオを高速で精緻化するPDCAサイクルを作り上げるのだ。
この記事をシェア
2019.01.11

背景

 デジタルマーケティングを活用する企業が増えている。従来のマーケティングを進める中で、顧客とのタッチポイントにデジタルを活用しているケースも多い。ただ、このような場合、従来のマーケティングとデジタルマーケティングとの境目が分かりにくくなっている。
 キャンペーンがターゲットとする顧客、目指すゴール、さらには実施している担当者も変わらないため、従来のマーケティングの延長線上という認識に留まっている。そのため、従来のプロセスや体制のままで、デジタルマーケティングを実施してしまっている企業もある。
 しかしながら、デジタルマーケティングは、従来のマーケティングとは求められるスピード感がまったく違う。顧客の反応をリアルタイムに近い形で把握することができるためだ。企業は、顧客の反応に応じてすぐに対応をしなくてはならない。そのためには、オペレーションの考え方を大きく変えなければならないのだ。

何をすればよいのか

PDFダウンロードにはサイトへのご利用登録が必要となります。
PDFをダウンロード 536.57kB

成功の鍵

 従来のマーケティングとデジタルマーケティングでは、その発想を果たすべき役割の観点から大きく変える意識変革が必要だ。

 従来のマーケティングでは、顧客に対するマーケターの洞察(インサイト)が当たっているか、外れているかの一発勝負である。キャンペーンがいったん走り出してしまうと、修正することはなかなか難しい。アンケート結果や売上への効果として、顧客の反応を知るのは先になるので、修正するための判断材料もない。広域のキャンペーンで、販促の資材を作成して、各地にバラまいていると、急な方向転換もできない。

 一方で、デジタルマーケティングでは、キャンペーンの途中でも効果を検証し、キャンペーンの中身を修正してゆくことができる。リアルタイムに近い形で顧客の反応を把握することによって、期待した成果が出ているのかどうかを細かく確認することができるからだ。

 顧客のセグメンテーションや、表示するコンテンツといったキャンペーンの中身を変えるのは比較的簡単だ。修正するポイントが明らかであるなら、ツールさえ使えれば誰でも変更できる。しかし、そもそものキャンペーンの意図が見えていなければ、後から何を基準にして見直して良いか困ってしまう。そのため、効果だけを比較する形になってしまい、そこから意味合いを抽出して次に繋げることができない。

 キャンペーンの意図を事前に明らかにするためには、企画の段階で準備しておく必要がある。キャンペーンを実行した後に結果の振り返りと意味合い抽出をするため、前提を作っておくのだ。

  ペルソナ ⇒ カスタマージャーニー ⇒ マーケティングシナリオ ⇒ キャンペーン

 上記の手順で、「誰に対して」「どのタイミングで」「何をキッカケに」「どんなアクションを取らせたかったか」を形に残しておく。

 ペルソナはターゲットとしたい顧客の具体像であり、カスタマージャーニーはペルソナの行動プロセスを顧客視点で作るもの。それをマーケティングシナリオに転換して、個々のキャンペーンに落としていく。このステップを踏むことで、マーケティングシナリオの前提が明確になり、シナリオの中でのキャンペーンの位置づけもクリアになる。企画をした人間以外が見ても、キャンペーンで想定していた効果の前提が分かるようになるのだ。

 キャンペーン結果を踏まえて、前提通りに顧客が動いてくれたのかを、タッチポイント上での顧客の行動データを確認しながら検証していく。キャンペーンの前提を作るのが「Plan」、キャンペーンを実行するのが「Do」、そして結果を確認して前提を修正していくのが「Check」「Action」となる。形だけのPDCAサイクルでなく、「Plan」の段階で「Check」「Action」を意識しておくことがデジタルマーケティング戦略では求められる。

 以上のように、デジタルマーケティングでは、PDCAサイクルを高速で回して、検証結果を積み上げることが強みの源泉となる。検証結果がナレッジとなり、自社ならではのマーケティングシナリオを効果的に構築することができるようになるのだ。