デジタル化で進むオペレーション効率化と更なる高度化RPA(Robotic Process Automation)の実際

 RPAとは、Robotic Process Automationの略称で、人間が行っているデータの収集・加工、入力・チェック等を自動実行(ロボット化)するソリューションのことである。ロボットが人間の業務を代替することで、オペレーションの効率化を図ることができる。

 すでに先進的な企業では、実機検証(PoC:Proof of Concept)の期間を設けたり、一部業務に試験的に適用してみたりすることで、自社に適用した場合の効果を確認している。これらの取り組みによって、人手で行っていた作業内容を自動化することができれば、作業時間の短縮効果も見込めるだろう。ただし、本当に意義のある効率化を目指そうというのであれば、RPAを断片的な作業の自動化に留まらせるのではなく、その先に一体なにを見据えるのかが問われる。

 「RPAをデジタル・トランスフォーメーションの入口の一つとして位置づける」という考え方もその一例だ。オペレーションの「あるべき姿」を踏み込んで追求し、単なる手作業の自動実行では終わらせず、オペレーションの「質」の変化まで取り組む。
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2017.11.20

トレンド・背景

 2016年夏ごろより、人手での作業時間を大幅に削減するソリューションとして、RPAに関する記事がインターネットメディアを中心に登場し始めた。日本での導入事例として、大手生命保険会社やメガバンクの事例が紹介され、2017年夏以降は記事が出ない日がないほどになった。ある意味、バズワードの1つに仲間入りした感もある。

 その一方でRPAは、生産性向上・コスト削減を目的に、人間が行っている作業の自動化を進めるものでもある。そのため、人間の作業を奪う脅威として取り上げられることも少なくない。

 反面、労働人口の減少という日本社会の背景から、働き方改革につながる取組みとして注目されるケースもある。では、実際のところRPAとはいかなるものなのだろうか。どうしたら期待通りの効果を出すことができるのか。導入時においてポイントは何なのか。直近の導入事例で見えてきた“RPAの実際”をひも解きながら、あるべき取組を検証する。

何をすればよいのか

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成功の鍵

 RPAによる作業の自動化といわれても、具体的に自社においてどのような効果が期待できるのか、なかなかイメージしにくい。メディアで取り上げられる事例がそのまま自社に適用されるわけではない。

 自動化による効果の有無や大小は、現状業務にどれだけ効率化の余地が内在しているかによって異なってくる。新規業務では、業務プロセスが成熟していないため効率化の余地が十分にある一方、既存業務では、これまでの現場努力による業務改善やシステム化やツール化などを進めていた場合、現行の手作業をそのまま自動化するだけでは、期待通りの効果を得にくい。

 効果が出ないのを見て、「やっぱりダメじゃないか」と誤解されないように、確実に効果が出る導入対象の選定が重要となる。RPA自体の有用性を正しく評価し、経営層や関係部署に周知するためには、非常に重要なステップとなる。

 新しい取組みは、最初が肝心である。いかにポジティブなムーブメントを社内に起こせるかが問われる。取組みが持つ有用性を正しく認めてもらい、手に入れるべき果実を確実に刈り取れるよう十分に留意したい。導入の効果を最大化するためには、業務の見直しを含むBPR(Business Process Restructuring)を同時に実施することが求められる。もともと効率的ではない業務を自動化しても、効果が限定的になってしまうからだ。

 RPAの有用性を先に実証実験(PoC)という形で確認してからでもかまわない。まずは効果が出ることを確認したうえで、取組の展開に際し、業務の見直しにまで踏み込むのである。こうしてRPA導入をきっかけに、これまで十分に実施できていなかった業務改善、業務の標準化に取り組む。RPA導入をデジタル・トランスフォーメーションにつなげるように行動して、オペレーションの「質」を変化させる契機とするのだ。

 あるべき姿を検討する際には、デジタルの各ソリューションの活用も合わせて実行していく。そのうえで、将来の業務のあるべき姿を検討するのである。つまり、RPAの取り組みは、目の前の効率化だけでなく、5年先、10年先のオペレーションを形づくる取組につながる、と捉えるのが正しい考え方だ。

 初期導入のコストが小さいことから、業務部門主導でトライアルの実施を決定し、PoC、トライアルを行われることが多い。しかし、RPAの本質的な効果は、単発作業の自動化に留まらない。共通プラットフォームのもとで自動化の取組みを全社展開して初めて効果のほどがわかるようになる。

 しかし、全社展開をするとなれば、RPAによる自動化に伴う発生するリスクへの対策が欠かせない。導入するだけで簡単に願いがかなう、というわけではないのだ。RPAによる自動化のリスクは、全社的なシステムのリスクにも関わってくる。したがって、既存IT部門の関与は必須条件といえる。業務のRPAへの依存度合いが高まれば高まるほど、ガバナンス体制が重要となる。

 このガバナンスの体制は、全社展開する際に初めて用意するものではない。PoC、トライアルする時点からガバナンス観点による評価も行い、仕組みを構築していくべき。憂いなく、全社展開をスムーズに実施するためには、初期導入の時から全社展開を念頭にいれて、リスク対応策も含むガバナンス体制の検討も実施しておくのである。