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    戦略論とDXの交点から導くデジタル変革成功の要点
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日経ビジネスに弊社 常務執行役員 則武と、シニアマネージャー 加藤の記事が掲載されました。
戦略論とDXの交点から導くデジタル変革成功の要点

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  • 今なお進化を続けるメインフレームは、希少かつ魅力的なレジェンドだ!

今なお進化を続けるメインフレームは、希少かつ魅力的なレジェンドだ!

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“クラウド化”と“脱クラウド”、相反する二つの動き

 メインフレームは1960年代に登場したレガシー技術であり、進化を続けながら現在もなお、多くの企業で使われ続けている。大量データの高速処理を並列で行うために、全ての機器(CPU、入出力コンポーネント、暗号モジュール等)が最適に構成されており、高可用性を実現できている。連続稼働などの非機能要件を満たすために、60年近くも改善を続けてきた結果が、多くの企業に使われ続ける要因となっているのであろう。

 一方で、メインフレームを使ったオンプレミス環境を捨て、クラウドへ移行する企業が多いのも事実である。ただし、メインフレームと同様の処理性能をクラウドで担保しようと検討しても、様々な要因で行き詰るケースが後を絶たないことは知っておいた方が良い。実際に、「QCD(品質・費用・期間)いずれかの理由で断念した」、「設計や運用の考慮漏れによる事故リスクがある」、「クラウドへのデータ持ち出しが企業セキュリティ上難しい」といった声をよく耳にする。

 たしかに2000年代から登場した“クラウド化”の動きはますます増えている状況にあるが(図1)、実は相反する動きとして、2010年代になってから“脱クラウド”の動きも出てきているのだ。“クラウド化”と“脱クラウド”、真逆の動きが並行しているのは実に面白いのだが、どちらを選択するにせよ、正しく設計するためにはオンプレミスとクラウドの十分な理解が不可欠となることに変わりはない(図2)。

 そして、この“脱クラウド”の動きに合わせるかのように、現在のメインフレームはレジェンドな要素を継承しつつ、新たにクラウドの利点を盛り込むことでパワーアップしているのだ。

現在のメインフレーム = 何でもできる + オープン技術に接続できる

 かつて技術革新により様々なシステムが乱立していた1960年代に、“1台でなんでも処理できる”ことを目的としたメインフレームが開発された。IBM社はメインフレームをより長く使ってもらうために、60年以上にわたってコマンドを一つたりとも削除することなく、今なお互換性を担保し続けている。安心・安全・安定にシステムを稼働させるという信念は、メインフレームの揺るぎない価値として根付いているのである。

 直近では2019年頃からNEC、IBM、日立などの企業が、続々と新しいメインフレームを発売し、オープン技術に接続する多くの機能を実装している(図3)。例えばIBM z15は、コンテナやDevOps機能に加え、マルチクラウド接続も可能になった。量子コンピュータでも解読困難な高度な暗号化技術を保有しており、仮にクラウド上にデータを配置したとしても、データ強度を維持できる点は画期的である。この技術によって「災対環境はクラウド上に配置する」といったことが現実的となり、安価に環境を構築できるようになった。

 また、データの価値創出に注目している日立やNECは、クラウドを支えるオープン技術と接続する機能を追加した。メインフレームで分析を行う場合は、蓄積されたデータをクラウドに送る必要がないため、データアップロード中の事故や設定ミスなどによる機密情報漏洩リスクを大幅に低減させられる。さらにメインフレームであればハードウェアレイヤで暗号化する機能を保有しているため、データ分析を行う場合に暗号/復号処理をソフトウェアで考慮しなくても良いというメリットがある。

 現在、メインフレーム上で動作するCOBOLやPL/Iなどのプログラミング言語は、扱える技術者が減少傾向にあるため、市場のニーズが高まっている。Java等の言語と比較すると、変数の型や桁数に補完機能がないなど、コーディングを行う上で注意は必要となるが、書籍などの教材は豊富に出版されているため、技術獲得のハードルは決して高くない。

“脱クラウド”の兆しとなった「Dropbox」 の事例

 2008年に正式サービスを開始した米Dropbox, Inc.は、膨大な容量のデータを管理するオンラインストレージサービス「Dropbox」を展開しており、1日に同期されるファイルは10億件以上にものぼる。「Dropbox」は当初、クラウドでサービスを展開していたが、オンプレミスとクラウドのメリデメを比較した結果、“脱クラウド”に踏み切る決断をした。2012年までに“脱クラウド”に向けた方針を固め、2015年にオンプレミスへの移行を実現したのである。

 「Dropbox」は事業の拡大に比例して管理するデータ容量が増えていくため、運用コストが膨大に膨れ上がっていくのが大きな課題であった。またクラウドサービスだと、自社の事業特性に合わせてカスタマイズすることが難しく、この点も“脱クラウド”を後押しする要因となったのである(図4)。

 現在ではユーザ企業の多くが、セキュリティ上、国外にデータを保管できないルールを設けていることから、「Dropbox」は各国のリージョン上でサービスを展開している。更に、セキュリティの壁を越えやすくするためにISO27001、SOC2/SOC3、HIPPA、ISO27017、ISO27018等の様々な認定を取得して円滑なネットワークを形成しているのだ。

 そして2022年現在では、北米、アジア、欧州のそれぞれで、複数キャリアを使って自社の専用回線を接続しており、米国以外でも“脱クラウド”でのサービス最適化が実現可能となりつつある。

レジェンドとなったメインフレームは技術者にとっても魅力的

 これまでメインフレームを保有してきた企業であるならば、ビジネスとアーキテクチャの最適な構成が整理されているはずなので、もし盲目に“クラウド化”を選択しようとしているならば踏みとどまって考えた方が良い。メインフレームを最新機器に刷新すれば、これまでのサービスを維持しながら先端技術を活用できるため、オンプレミスを継続する選択肢を簡単に捨ててしまうのは得策ではない。

 もちろんクラウドを活用した方が良いケースも多い。例えばグローバルでビジネスを展開している場合、その国や地域によって法律やルールが変わるため、臨機応変に準拠しつつも、サービスの敏捷性を確保できるクラウドの方が適しているだろう。しかし「Dropbox」の事例のように、一定のレベルを超えた場合、オンプレミスでサービスを提供した方が安価となり、サービス品質を向上できるケースも出てくる。

 オンプレミスとクラウドを正しく比較検討するために、ビジネスの指標として、コストとサービス品質を可視化できる状態にしておくことが望ましいだろう。私はこれまで、多くのクライアント先でアーキテクチャ検討を行ってきたが、クラウドだけでなく、メインフレームを含めたオンプレミスも合わせて比較できなければ、最適なビジネスを提供するためのアーキテクチャ検討はできないと感じている(図5)。

 これから到来するSociety5.0のスマート社会では、生活者が利用するモノやサービスにてあらゆるデータが活用されていくこととなる。データの取り扱いは、より高いレベルのセキュリティ管理が求められることになり、情報漏洩の事故は顧客から離反されるレピュテーションリスクをはらむ。人もサービスも同様に、信頼関係は長い時間をかけて少しずつ積み上げていく必要があるが、逆に信頼を失うのは一瞬なのである。

 レジェンドであるメインフレームは、高性能、高信頼性、堅牢性を満たした希少な存在である。このメリットを手放して“クラウド化”するということは、メインフレームで築き上げてきた高セキュリティを、一から設計し直すことを意味する。そして、もし設計ミスがあれば、これまで築いた信頼を一瞬で失うことにもなりかねない。

 現在のメインフレームはクラウドの良さを吸収し始めており、海外では既にクラウドの対抗馬として位置づけられているのだ。ここに気付いた多くの大企業は、メインフレームを継続利用する方針に切り替えている。

 60年以上経っても、今なお進化を続けるメインフレームかつては限られた技術者しか操作できなかったものだが、現在では容易にふれて試すことができるため、多くの技術者にとって魅力的な存在となっているのではないだろうか。

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  • コンピュータウイルス VS セキュリティソフト、AI活用による仁義なき闘い

コンピュータウイルス VS セキュリティソフト、AI活用による仁義なき闘い

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我々は既にAIによって守られている

 コンピュータウイルスは驚異的なスピードで増殖を続けており、我々のデジタルデバイスはますます危険に晒されている。AV-TEST(※1)によると、2020年までに世界中で検知された新種のコンピュータウイルスは累計6億6千万種類(少しだけ違う亜種も含む)にものぼり、ここ数年では年間1億種類を超えるペースで増加しているという(図1)。

日本においてもIoT等のセンサーに対する攻撃が懸念されており、2017年度は一日あたり1,893件だったものが、2021年度には7,335件ものウイルスが検知されている(図2)。たった4年間で4倍近くも増加した計算となり、もはやこれまでのやり方ではセキュリティ側の対応が追い付かない状況である。

 これほどまでに攻撃者側の脅威が増加している背景には、コンピュータウイルスの開発環境が整備されてきたことや、自動生成ツールが開発されたことがあげられる。今では、誰でも簡単にウイルスを作成することが可能となってしまっているのだ。この状況に対抗するため、セキュリティ業界ではディープラーニングの研究が進んでおり、セキュリティソフトへのAI活用が積極化している。

 実は知らず知らずのうちに、我々はAI武装したセキュリティソフトによって守られているのだ。

セキュリティソフト進化の歴史と、AI活用の必然性

 コンピュータウイルスもセキュリティソフトも、元をたどるとどちらもプログラムに過ぎない。攻撃側であるウイルス開発者は、PDFやExcelなどのファイルに、コンピュータを誤作動させるようなプログラムを混入させる。対して防御側であるセキュリティソフトは、さまざまな解析手法を駆使したプログラムでウイルス検知を行っている。この攻防はかねてから続いてきたわけであり、コンピュータウイルスの進化に合わせるように、セキュリティ側も解析手法をレベルアップさせてきた。解析手法は現在までに、大きく分けて4段階の進化を遂げてきたのであるが、整理すると以下のようになる。

  • 1.表層解析

 ウイルスに感染した疑いのあるファイルが手元にある時、既に調査された情報がないかをインターネットなどから探し出し、公開された情報からウイルスを特定する手法。ウイルスのプログラムの規則性を探す取り組みは、セキュリティベンダーや研究者によって日々行われているため、その調査結果を活用するものである。

   

  • 2.静的解析

 ファイルを開くことなく、ファイル形式やファイルに踏まれる文字列など、コンピュータウイルスの特徴と合致する部分がないかを調査する処理。プログラムを実行せずにウイルスを検討するため、静的解析といわれている。明らかになる情報は多くないが、解析のコストが少なくすむため、その後の解析の方針を決める手段としても有効である。

    

  • 3.動的解析

 エミュレータ上でプログラムを実行し、異常な挙動がないかチェックする手法。コンピュータウイルスの進化によって、ファイルの形を残さずにコンピューのメモリ上のみで動作するものも登場してきたため、その対抗策として、隔離した環境で実際にファイルを開いて挙動を監視する動的解析が開発されたのである。

     

  • 4.統計解析

 静的解析や動的解析の手法に、機械学習やディープラーニングを応用したのが統計解析である。これまでのルールベースの解析手法とは違い、少し違う亜種のウイルスも判別できるようになった。

   

    

 セキュリティソフトのプログラム内では、シグネチャと呼ばれるルールを使い、「ルールに合致するかどうか」という条件に従って、コンピュータウイルスを判定している。しかしこの手法では、少し違うだけで条件を満たさなくなるという弱点があるため、亜種のウイルスを検知しにくいという課題があった。そして、この点を突いてウイルスは攻撃をしてくるのだ。防御側は動的解析までの手法では、セキュリティ調査、ルール作成、ソフトウェア更新といった対策が追い付かなくなっており、多くの種類を一度に大量にばらまくコンピュータウイルスによって、感染被害が拡大してきたのだ。

 この事態に対してセキュリティ側は、ディープラーニング等を活用した統計解析を導入し、「コンピュータウイルスらしさ」をAIに学習させることで、亜種のコンピュータウイルスも検知できるよう取り組み始めたのである。

なんと、亜種ウイルスの検知に使われているのは画像認識!

 ディープラーニングを用いたウイルス検知は、2011年に発表されたNataraj(※3)らの取り組みによって技術的プレイクスルーを迎えた。彼らはコンピュータウイルスに感染したファイル(PDF、EXE、Excelなど)を画像に変換するという驚きの手法を開発し、画像認識のディープラーニングによってウイルスを検知したのである。

 まずコンピュータウイルスに感染している疑いがあるファイルを、0と1で構成されるビット列、つまりバイナリに分解する。そのバイナリを1行8ビットのデータとして2次元に並べていき、縦横サイズを調整することでグレースケール画像ができるというわけだ。

 コンピュータウイルスに感染したプログラムと感染していないプログラムを、画像として比較したときに、ピクセル数、明るさ、模様の差といった形で違いとして表れるのだ。このような画像内に含まれる「コンピュータウイルスらしさ」のパターンを見つけ出すために、画像認識の処理が有効であるため、ディープラーニングの技術の一つであるCNN(Convolutional Neural Network:畳み込みネットワーク)が活用されるようになったのである。

 Natarajらの取り組みが発表されてから、世界中で多くの研究が進められているが、日本でも筑波大学からCNNを活用した論文が発表されている(※4.Computer Security Symposium 2017)。CNNと注意機構を用いて、「トロイの木馬」や「バックドア」と呼ばれる同種コンピュータウイルスにおける、亜種の違いを可視化する手法を提案している。

 図5はウイルスの亜種を画像化した例であるが、プログラム的には少しの違いでも、画像にすると大きく違って見えることがわかる。また図6は筑波大学の研究内容だが、亜種のちょっとした違いを分析した例である。注意機構をもつCNNで処理した結果、亜種の間で同じ場所は黒、亜種固有の領域は色がついて表されていることがわかる。


 コンピュータウイルス検知に画像認識のようなディープラーニングを用い、増え続ける亜種に対抗していく研究は、着々と進められているのである。

 実用面でもディープラーニングが活躍した実績は報告されている。例えば2014年に「Emotet」というウイルスが北米で急速に拡散した時には、Microsoft社の「Windows Defender AV」に搭載された決定木アルゴリズムが自動検知したことによって、大量感染を未然に防ぐことができた(※4)。その他にも、米Cylance社、Symantec社、MacAfee社、Kaspelsky社などのセキュリティベンダーも、積極的に機械学習の研究を進めている。

 AI活用が当たり前のようになりつつあるコンピュータウイルスの世界では、攻撃側はAIに誤った判断をさせたり、AIの検知を回避するような攻撃を仕掛けている(※5,6)。防御側であるセキュリティソフトも、更なるAIの進化で対抗していく必要がある。

 このように普段何気なく使っているPCの裏側では、実は高度なAIを駆使した攻防が既に始まっているのである。

      

参考情報

※1. AV-TEST:デジタルデバイスのオペレーティングシステム用のウイルス対策およびセキュリティスイートソフトウェアを評価および評価する独立組織。AV-TEST_Security_Report_2019-2020より引用

※2.警察庁令和3年サイバー空間をめぐる脅威の情勢 図9を引用

※3.Malware images: visualization and automatic classification. Nataraj, S. Karthikeyan, +1 author B. S. Manjunath Published in VizSec ’11 20 July 2011

※4.「CNNと注意機構による画像化されたマルウェアの解析手法」矢倉 大夢1 篠崎 慎之介1 西村 礼恩1 大山 恵弘1 佐久間 淳1†Computer Security Symposium 2017

※5.How artificial intelligence stopped an Emotet outbreak、Microsoft Defender Security Research Team February 14, 2018 /6 min read

※6.JVN Pedia:JVNVU#99619336 勾配降下法を使用する機械学習モデルに、誤った識別をさせるような入力を作成することが可能な問題

※7.JVN Pedia:JVNDB-2019-007167 Cylance のアンチウイルス製品にマルウエア検知を回避される問題

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坂田 和広

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ビジネスが変われば、指標もデータも変わる

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目的は「X=変革」でありDはその手段。だからこそ「dX」

 人々の生活においてもビジネスにおいても、デジタル化が急激に加速しているが、だからといって日本企業の重要課題であるデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが加速しているわけではない。

 これは、わが国でDXという言葉が、重大なミスリードを招いているからだと私は考えている。「DX とは便利なデジタルツールを導入してアナログな作業を減らす」ことだと捉え、多くの企業が目的をはき違えてしまっているのだ。

 本来の DXとは、企業が競合勢力に対抗する上でデジタルを活用して、自社のケイパビリティのポテンシャルを最大限に引き出し、市場やその領域における持続的な競争優位を築くことを指している。

 勘違いを招かないためにも「dX」と、主従を明確にして表記するのが望ましい。

 なぜ「d」を小文字にするかというと、デジタルはあくまで変革を起こすための手段やきっかけに過ぎず、主役は企業自身の「X」を実現することを意味しているからだ。もちろんこのXはトランスフォーメーション(変革)だが、そもそも何を変革するべきなのだろうか。改めて考えてみよう。

「D」が主役となっては肝心の「変革」を見失う

 「当社では DX に取り組んでいます」という企業の話を聞くと、最新のデジタル導入事例を調べてはそれに倣い、業務改革や効率化をうたうソリューションや Web サービス導入を検討している例が少なくない。だが、これは「D」が主役という思い込みから来る大きな誤りだ。

 ある企業(A社)の失敗例を見てみよう。

 A社ではコロナ禍の影響もあって、この1~2年で法人営業の体制が一変した。これまではいわゆる「足で稼ぐ」営業スタイルだったのが、ZoomやMicrosoft Teamsなどのリモート会議ツールを使ったオンライン訪問が主体になったのだ。

 営業日報はこれまで、事務所に戻ってパソコンで入力し、紙で出力する必要があったのだが、新たに導入したセールスフォースによって、スマホアプリでどこでも簡単に入力することができるようになった。

 これらの取り組みによって、営業成約率や訪問成果の大幅な向上が期待されたのだが、結果としては訪問回数も成約の確率も従来とまったく変わらぬものだった。

 せっかく便利なデジタルツールを導入したのに、「自社がどこを目指すのか」という目標が空白のままであり、これまでの業務をデジタルに置き換えたにすぎなかったのだ。残念ながら、DX をデジタルツールの導入だと勘違いしていると、このような結果を招いてしまう。

「X」に不可欠なKPIを見極め、追求することが成功の鍵

 では、「X」が主役の「dX活動」にするためには、一体何を変革すべきなのか。まず必要なのが、「自社が目指すビジネスモデルの理解」だ。その上で、「ビジネスモデルのドライバーを見定め、それをデジタルツールで加速する」ことが重要なポイントになる。

 「そもそもドライバーとは何?」と思うかもしれない。実は、ビジネスモデルのドライバーとはKPI(重要業績評価指標)を指す。KPIとは、KGI(重要目標達成指標)に到達するために、最も重要なプロセスを数値で表したものだ。

 「KPI なら当社だって設定しており、いろいろな指標を日々確認している」と言われるかもしれない。だが、そこに問題が潜んでいる可能性があるのだ。「X」である変革を目指すのならば、変革に必要となる指標を見極めなければならない。「いろいろな指標」ではなく、「変革に不可欠な指標」に絞って追い続けていくのだ。

 模範例となる企業(B社)の例を挙げよう。

 物品販売を手がけるB社では、最近サブスクリプションモデルに移行した。同時にセールスフォースも導入し、営業活動の効率化を図ることになった。ここでB 社はKGIを自社のビジネスモデルにフィットするものに変更し、それに従ってKPIも再検討することにした。訪問数や提案数がKPIだったこれまでとは異なり、サブスクリプションモデルでは契約獲得後に、いかに顧客が製品やサービスを使ってアクティブな状態を保ってくれるかが問われるようになるからだ。

 そしてサブスクリプションモデルに合わせたKPIに見直すなかで、業務プロセスそのものも大きく変化していった。これまでは営業先をリストアップしたら、とにかくアポイントメントを取るのが重要だった。アポさえ取れれば、あとは客先まで足を運び、成約というクロージングに持ち込むことができれば業績につながっていた。

 ところがサブスクリプションモデルに変わることで、成約後のフォローに重点が移ったのだ。快適で心地よい顧客体験を提供し、より多くより長く使ってもらうために、顧客の声を細かく拾って製品やサービスの改善に生かすことがビジネスモデルを成長させるドライバーとなったのだ。つまり、「いかに売るか」から「いかに続けてもらうか」に変わり、それまで営業部門とは関わりのなかったカスタマーサポート部門が、業績を左右する存在になることを思い知ったのだ。

 「これからはデジタルだ」と意気込んでセールスフォースを導入したとしても、「自社がどこを目指すのか」という目標を明確にせず、従来の訪問数、提案数、成約率などのKPIを追いかけるままであっては、変革には程遠い成果しか見込めず、高価なデジタルツールは「宝の持ち腐れ」にすぎない結果となっていただろう。

ビジネスドライバーに合わせた新たなデータ統合が「dX」を加速する

 B社を成功に導いたもう一つのポイントとして、データ活用もあげられる。

 営業体制や業務プロセスを大幅に変革した結果、評価の仕組み自体を刷新する必要性に気付いたB社だが、課題となったのは営業部門とカスタマーサポート部門双方の「データ統合」であった。

 新しく始めたサブスクリプションモデルでは、「成約したら完了」ではなく、その後の「継続的な顧客フォロー」が重要になってくる。となれば追うべきKPIが変わり、データの管理・活用のあり方から見直す必要が出てくる。そこでB社は、営業活動とカスタマーサポート双方の情報を統合したデータウエアハウス(DWH)を構築し、全社員がダッシュボード経由でDWH にアクセスすることで、一気通貫の営業成績の評価を可能にした。「ビジネスモデルの変革」に向けて、「ドライバーとなるKPI」を見直し、KPIを管理するための仕組みを「デジタルで実現」した。まさに冒頭で触れた「dX」の好例といえよう。

 現在、日本は「DXブーム」とでも呼ぶべき状況にあるが、「ビジネスモデル起点」の原則さえ忘れなければ、DXは一過性の流行ではなく、変革を実現し続ける文化が醸成されるはずだ。「Dx」ではなく、「dX」の取り組みが増えていくにしたがって、日本を大きく変えるうねりが生じていくはずだ。

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【今さら聞けないDX】「IT」と「デジタル」と「DX」の違い、明確に説明できますか?

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今さら聞けないITとデジタル、そしてDXの違い

 あなたは、「IT」と「デジタル」と「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の違いをはっきりと説明できるだろうか。ふだんの仕事でも、上司や同僚との会話で何気なく使っているこれらのキーワード。だが、改めて明確に定義を説明して欲しいと言われたら、言葉に詰まってしまう人も多いのではないだろうか。

 今さら人に聞くのは恥ずかしいと思われるかもしれないが、「ITとデジタルの違いを正しく理解していなければ、DXの成功は望めない」といったらどうだろう。少なくとも、共通言語の認識が社内でずれていないか、一度確認してみた方がよいかもしれない。

 私がいつも行っているDX関連のセミナーでは、序盤の重要ポイントとして、この「ITとデジタルとDXの違い」を説明するスライドが登場する。過去の経験談としても、これらの違いを説明した途端、ハッと気付いたような表情を見せてくれる参加者は多い。この反応からも、DXの取り組みを成功に向かわせる上で、重要な前提となる知識であることが分かるだろう。

ITは失敗の許されない「守り」、デジタルは失敗もあり得る「攻め」

ITは昔からあった言葉、そしてデジタルは最近出てきた言葉。

 この違いは誰もが知っているだろうが、逆にこの程度の理解にとどまっている人からは、「デジタルって、ITを言い換えただけでしょ」という無邪気な言葉が聞こえてきそうだ。正直言って、これからDXを目指すとしたらちょっと頼りないと思ってしまう。

 そんな状態から目覚めるためにも、まず始めに理解しておきたいのは「ITは守り、デジタルは攻めの概念」だということだ(図1)。これまでのITを「守りのIT」、新たなデジタル化の取り組みを「攻めのIT」と表現することもある。例えば、基幹システムを構築・運用するのは「守りのIT」に該当するが、オペレーションを効率化させるための新たなコミュニケーションツール導入や、ビジネスを改善するためのデータ連携の取り組みなどは「攻めのIT」、すなわちデジタルに該当するというわけだ。

 両者は、開発や運用のアプローチが異なっており、考え方が正反対ともいえる要素が多い。これまでビジネスやオペレーションを下支えしてきたITは、常に「ほぼ100%」の完璧さを要求されてきた。業務システムが突然止まることは許されないし、万が一何か起きれば、自社のビジネスそのものに大きなインパクトが生じてしまうからだ。

 一方、積極的に変革を試みるデジタルは、トライ&エラーを繰り返しながら、徐々にスパイラルアップしていくという特性を持っている。デジタルの活動の一つである新規事業の創造は、成功する確率が低いなかでイノベーションにチャレンジする取り組みとなる。

図1:ITとデジタルは似て非なるもの


 その意味では、ビジネスやオペレーションを確実に支える「IT」と、新しい価値創造にチャレンジする「デジタル」と言い換えてもよいだろう。

DXとは抜本的な変革を成し遂げること

 そして、半ばバズワード化している「DX」であるが、一言で言うなら、「デジタルをフル活用した先に実現する抜本的な変革」だ。これを理解する上で重要なのは、デジタルテクノロジーとは「これまでなかった新しいテクノロジー」という点だ。新しいテクノロジーということは、新たな価値をもたらす力があるということであるため、デジタル活用は「今までできなかったことをできるようにする」ものでなければ効果的とはいえない。

 要約すれば、DXとは「今までできなかったことをできるようにする」取り組みを積み重ねていくことで、企業のあり方が変わるほどの変革へと到達できる営みを指す。

 例えば、従来の紙で行っていた出荷伝票をPDF化できたとしても、それはペーパーレス化という一つの「改善」を実現したに過ぎない。だが、そうした小さな改善を積み重ねていった先には、DXにつながるビジネスモデル変革が見えてくるかもしれないということだ。

 そのためには、PDF化した出荷伝票を 、この先どう生かしていくかが問われる。「オンラインで瞬時に本社へ集約できる仕組みをつくろう」、「集約したデータを全国の拠点でリアルタイムに共有しよう」といった施策の積み重ねが次の変革アイデアを生み、いずれ新しいビジネスチャンスが見えてくる。当初は考えもつかなかったようなビジネスモデルにたどり着いたとき、DXという抜本的な変革に向かっていくことになるのだ。

 もちろん「数撃てば当たる」とばかりに、無計画にデジタル活用を重ねても、DXに結びつくことはない。目指す目標が聖域なき変革であるほど、「変わりたくない」という社内の反発に阻まれるケースに数多く遭遇することだろう。

 そこで私たちベイカレント・コンサルティングでは、DXという最終的な目的を実現するための方法論を提唱している。社員の思考・行動様式を意識レベルから変えていく「マインド変革」、働き方やITの再構築にも着手する「社内変革」、ビジネスモデルを抜本的に見直す「ビジネス変革」を実現した先に、最終的な目的実現が目指せるようになるのだ(図2)。

図2:DXという最終的な目的を実現するための方法論

「IT」と「デジタル」を明確に区別することで、DX推進は成果を出し始める

 守る「IT」と攻める「デジタル」では全く異なるアプローチになるため、それぞれに関わる社員の考え方や行動スタイルが違ってくるのは当然ということになる。

 この前提に立つと、「ITを担当しているCIOにDXも委ねてしまおう」といった考えが危ういと理解できるはずだ。まったくベクトルの異なるアプローチを一つの組織で行おうとすれば、当然メンバーの取り組み方に無理が生じてくる。サッカーに例えるなら、これまでディフェンダーとして活躍してきた選手に、これからは1試合ごとにディフェンダーとフォワードを交互にやってくれというようなものだ。よほどのオールラウンダーでなければ、この二刀流は難しいだろう。DXの取り組みも同じだ。これまでもデジタル活動で十分にトライ&エラーの経験を積んだ実力者集団なら、一つの組織で兼任させても大丈夫だろうが、初めから両立させようとするのは無謀と心得た方が良い。

 ただし、認識しておく必要があるのは、いずれは既存のIT組織が守りと攻めを両立しなくてはならない時が来るということだ。デジタル化によって構築されたシステムが、ある程度社内に定着してきたら、それ以降はIT組織がしっかりと守っていくことになる。しかし、いざその時になって急に、「あとはよろしく」と任されても無茶ぶりとなってしまう。従ってデジタル組織は、DXの取り組みを進める過程を通じて、IT組織を上手に巻き込んでいく工夫をする必要があるのだ。

 ITとデジタルは似て非なるものであるが、同時に切り離せない関係にあることも理解しておくことが、全社一丸でDXを推進するうえで大切なポイントとなる。そして、DXが「抜本的な変革」であるという意識が浸透することで、「守りのIT」と「攻めのIT(デジタル)」を区別して取り組めるようになる。 その考えに立ったときに初めて、企業のDX活動は旗印となる最終的な目的を掲げ、着実な成果を出しながら推進力をつけていけるはずだ。

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Practice04-3.データレバレッジへの第一歩の進め方

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ファーストペンギンは現場で探す

 データ活用を進めたいという声をよく耳にする。しかし、レバレッジを利かせる第一歩をうまく踏み出せていない企業が多いのではないだろうか。最大の要因は、デジタル部門においてデータレバレッジの第一歩目を任せる人材を間違っていることにある。自社ビジネスへの深い理解と、データを操るスキルを兼ね備えた稀有な人材でなければ、ファーストペンギン(群れの中から最初に海へ飛び込むペンギンのこと。すなわち、リスクを恐れず初めてのことに挑戦する精神の持ち主を指す。)には到底なれない。

 そのような人材がデジタル部門の既存メンバーとして在籍していることは少ないし、外部のデータサイエンティストでその要件を満たせることはほぼないと言ってよい。

 それでは、ファーストペンギン足り得る人材はどこにいるのだろうか。答えは、「灯台下暗し」である。ビジネス理解とデータスキルを磨き続けてきたファーストペンギン候補は、あなたの会社の中に何人も隠れている。社内で見出されていないだけなのだ。

 データサイエンスは、ここ最近生まれたものではない。データサイエンススキルの一つである現代統計学は、100年以上の歴史がある。機械学習にしても50年以上の歴史がある。データサイエンスを使って業務にあたっている人が、どの業界のどの企業にも必ず存在しているのだそのような人材の中からビジネス理解が深いファーストペンギン候補達を探し出し、デジタル部門へ引っ張ってこなければならない。

 例えば、生産部門や品質管理部門は良い例だ。彼らは古くから機械学習を活用した工程・装置管理、統計を活用した品質管理に取り組んでおり、ビジネス課題とデータサイエンスへの造詣が深い。

 また、マーケティング部門やサプライチェーンの部門にも、ファーストペンギン候補が隠れている可能性が高い。未来の需要予測は彼らの主要業務の1つだが、そこでは統計が確実に駆使されているからだ。

 このように、固定化したデータサイエンティストのイメージを取り払い、社内に目を凝らせば、ビジネス理解とデータスキルを兼ね備えたファーストペンギン候補はきっと見つかる。現場からファーストペンギンを探す。そして、デジタル部門へ引っ張ってくる。それが、データレバレッジの最初の準備である。

クイックプロトタイプを作る

 次は、クイックプロトタイプ作りだ。クイックプロトタイプは、カネと時間をかけずに1人で作成できるような、ライトな試作品を意味する。

 このクイックプロトタイプが、DXを推進していくうえで欠かせない。デジタルはこれまでできなかったことをできるようにする、大きな可能性を秘めたテクノロジーだ。しかし、人は動くものを目の当たりにしなければ、その可能性になかなか気付くことはできない。クイックプロトタイプには、ファーストペンギン自身、そして周囲の人達に気付きを与える力がある。その気付きが、テクノロジーの可能性を最大限生かしたアイデアを発想する下地となるのだ。

 そして、気付きを与える力を持つプロトタイプには、カネと時間がなくても簡易的につくる方法が存在する。つまり、やらない理由、やれない理由はどこにもないということだ。

 モデル作成ツールや前処理ツールなどのデータ活用ツールには、オープンソースのものもある。つまり、無料だ。そして、かかる時間も数時間から1週間程度だ。これもデータ活用ツールの恩恵である。数百件のデータをつくり、モデル作成ツールにインプットすれば、わずか1日で機械学習モデルを作成できる。

 実際にベイカレントでは、売上実績と天候情報から来店者数を予測するクイックプロトタイプを1週間で作成した。その際に使ったのは、PythonとH2O Driverless AIである。わずか一週間だが、数十のアルゴリズムの精度を試し、最も適したアルゴリズムを使って来店者数を導き出した。

 ここで、ファーストペンギンにデータ活用ツールを使いこなせるのか、そんな疑問が浮かぶと思うが、心配には及ばない。基本的なデータスキルを備えているファーストペンギンならば、使いこなせるようになるのに1日も必要ないだろう。事実、このときファーストペンギンがH2O Driverless AIを使いこなせるようになるのに、1時間とかからなかった。

 クイックプロトタイプ。それが、ファーストペンギンの最初の仕事となる。

ペンギンの群れで突き抜けた未来を描く

 ファーストペンギンのクイックプロトタイプはデータレバレッジの可能性を示してくれるが、ファーストペンギン一人で生み出せるインパクトの大きさには限界がある。策定できる打ち手の幅が、ファーストペンギンの知っている領域に限定されてしまうからだ。

 次の一手は、ファーストペンギンが知っている領域の周辺にいる、ビジネス理解が深い次のペンギン候補をデータレバレッジの取り組みへ引き込み、データによる最適化・自動化を狙う群れをつくっていくことである。ペンギン達の自動化領域がつながれば、業務プロセスが巨大な塊で自動化され、飛躍的な生産性向上が成し遂げられる。工場で言えば、検査の自動化とパッケージングの自動化をつなげることが、後工程全体の自動化へとつながっていく。インパクトが10倍、100倍になる突き抜けた未来を描くことができるのだ。

 では、どのように周辺領域のペンギン候補達を群れへと引き込んでいけばよいのだろう。ペンギン候補達を巻き込みながら、クイックプロトタイプの実用性を高めていくことだ。

 できたばかりのクイックプロトタイプは、実用に耐える精度には達していない。使い勝手もよくない。あえて、この段階のプロトタイプで、ペンギン候補達に遊んでもらうのであるすると、忌憚のない意見が次々と出てくる。それらの知識やアイデアをモデルに加えることでクイックプロトタイプの実用性が向上していく。

 成長するのは、何もクイックプロトタイプだけではない。これを見て触れたペンギン候補達も、データレバレッジのポテンシャルに気付き始める。そして、気付き始めたペンギン候補に、ファーストペンギンがデータスキルを教え込んでいく。その結果、新たなペンギンが群れへ加わっていくのだ。

 勘と経験で、シフト表を作成している店長がいた。初めは需要予測モデルをあてにするはずもない。ところが、日に日に店長の推測値とプロトタイプの需要予測モデルの数値が近づいていくのを目の当たりにする。ある日、需要予測モデルに従ったほうが、最適なシフト表をつくれることに気付く。「機械学習は使えるのではないか」と芽生えた意識。それこそが、この店長がペンギン候補となった証拠だ。その後、店長はモデルの磨き込みに参画しながら、データスキルも身に付けていった。立派なセカンドペンギンになったのである。

 周囲を巻き込みながらプロトタイプを地道に磨いていけば、必ず群れは形成できる。その群れの大きさが、インパクトの大きさにつながっていくのだ。

抵抗勢力を味方にするためのヒント

 ペンギンが群れで描いた突き抜けた未来、すなわち目指す目的の前に立ちはだかるのが、社内の抵抗勢力だ。

 過去の成功体験によるプライド、そして、失敗体験による恐れが、変化を受け入れ難くしている。

 その壁を突破する最も効果的な方法。それは皆の前で、抵抗勢力のドン自身にデータレバレッジの意義を語らせることである。一見して困難に見えるその行為を、現実のものとするためのヒントが3つある。

 あるメーカーでの事例に基づきながら、そのヒントを説明する。

 そのメーカーでは、抵抗勢力のドンがデータ活用の取組みに異を唱えていた。このドンを説得するのは、並大抵のことではないように思えた。だが、最終的には大きな味方へと変貌を遂げたのである。その過程には何があったのか。

 1つ目のヒントは、反論できない文脈を背景にすることである。顧客からの生の声、新型コロナウイルスによる社会・経済的要求、当人も合意した経営計画の内容など、企業の中には「それを言われたら動かざるを得ない」という文脈があるはずだ。

 そのメーカーでは、機械学習を使った発注量予測を進めようとしていたが、この道30年の購買担当役員は後ろ向きだった。過去に何度もシステム化に挑戦し、失敗してきた経験があったからだ。

 しかし、抵抗勢力のドンと言われたその役員も、検討することには同意せざるを得なかった。中期経営計画の施策の1つとして、発注金額の最適化を当人が掲げていたからだ。このように、まずは反論を許さない文脈の中で、取り組みをスタートする必要がある。

 検討開始を渋々認めた抵抗勢力にぶつけるもの。それが、2つ目のヒントだ。抵抗勢力の前で、クイックプロトタイプを実演するのである

 前出の購買担当役員を前に、部品の発注量予測を実演してみせた。反応はどうだったか。

 首を傾げていた。意見を聞いてみると、自らの予測数量と近い数字が示されているとのことだった。その結果を不思議に思い、首を傾げたのだ。

 これが機械学習のポテンシャルを初めて体感した人に多いリアクションなのである。人は、推測していたことと同じ結果を目の前に示されると驚く。機械学習が人に追いついてきたことに気付くのだ。

 機械学習のポテンシャルに気付いたこの購買担当役員は、反対一辺倒から転じて、実行上の課題を前向きに指摘する姿勢を見せるようになったのである。

 3つ目のヒントは、味方になったドンに、データレバレッジの意義を皆を前で語ってもらうことである。そこで重要なのが、どんな人の胸にも突き刺さるよう、徹底的にわかりやすく、付箋1枚に書き切れる内容にすることが条件だ。

 例えば、「すべての紙を電子化して倉庫代100億円をなくす」、「すべてのチャネルでパーソナライズされたCXを実現し、売上を10倍にする」など、打ち手とインパクトの大きさをわかりやすく言語化したものである。

 この購買担当役員は、味方にする味方にするのは到底困難と思われる相手であった。どの会社にも、このような存在が大なり小なりいるのではないだろうか。しかし、手をこまねいているわけにはいかない。その人にデータレバレッジの意義を語らせるところまで流れをつくれば、その壁は突破できる。

 クイックプロトタイプを起点に、ペンギンの群れを形成しよう。抵抗勢力をものともせず、データレバレッジに向かって突き進むために。

Baycurrent-Digital_Practice04-3

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    • Practice03-3.デジタルビジネスを成功させるCX思考

    Practice03-3.デジタルビジネスを成功させるCX思考

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    そのビジネスモデルは顧客に刺さるのか

     ビジネス成功の尺度は、費用対効果で語られることが多い。しかし「売上を上げたい」、「今なら先行者利益を上げられる」といった考えだけでは失敗する。なぜならば、企業の思惑だけで考えたビジネスモデルは顧客に刺さらないからだ。

     ここで誤解を避けるために、先行者利益について言及しておきたい。先行者利益を上げることはビジネスの勝ちパターンの一つであるため、それ自体を否定するものではない。実際クライアントの多くも、まだ競合が参入していないブルーオーシャンを狙って取り組んでいるのが現実だ。

     特に進化の激しいデジタルビジネスにおいては、先行者利益をつかみ取ることはビジネスに弾みを付けるうえで重要なため、企業にとっては是非とも狙いたいと思うのも当然である。しかしブルーオーシャンは、見つけたとしてもすぐに他企業が参入してくる。いずれレッドオーシャン化してしまうものと捉えると、その探索活動は、企業にとって繰り返し訪れる「終わりなき旅」であると覚悟しておく必要がある。

     一方で、ブルーオーシャンをせっかく見つけたとしても、そこにはサービスの成功を阻む落とし穴が潜んでいる。顧客の先を行くサービスであるブルーオーシャンは、顧客に本当に刺さるサービスであるか否かの事前確認ができない。まだ見ぬ顧客の視点に立つことを疎かにし、企業側の自分勝手な視点でサービスを独り歩きさせてしまう可能性すらある。

     落とし穴にはまり込まないためには、CX(カスタマーエクスペリエンス)思考で顧客の声に耳を傾け続けることを忘れてはならない。具体的には、顧客の感じる不足や不満、そして顧客に刺さったポイントをいち早く察知するための、フィードバックループの仕組みをサービスに組み込んでおくことである。加えて、ヘビーユーザやファーストターゲットに該当するユーザと定期的にコミュニケーションをとる機会を設けておけば、サービス向上に一役買ってもらうこともできるだろう。

     デジタルサービスに慣れ親しんだ顧客は目が肥えている。自分にジャストフィットするサービスを望んでいる顧客の期待を超え、感動CXを提供することは容易ではない。提供者視点が透けて見えるサービスであれば、顧客ニーズに刺さり込む鋭さは到底持ちえないであろう。多様化する顧客のニーズを深く理解せずして、感動CXは成し得ないのだ。

    マネタイズの仕掛けはあるのか

     顧客のためにとCXを重視する余り、売上を二の次に考えてしまうことは、資金面でビジネスが頓挫するリスクを高める。企業は慈善事業を行いたいわけではないのだから、どこでマネタイズするかの検討は疎かにしてはいけない。

     しかし、マネタイズが想定通りに進まず、新規ビジネスを始めても売上がほぼゼロというケースは後を絶たない。最初は実験的に無料提供することで顧客に受け入れられたとしても、有償化した途端に離反されるという流れだ。

     まず認識すべきなのは、デジタルビジネスが自社に利益をもたらすためには、品質・コスト・納期を追求する視点だけでは不十分だということだ。顧客に「対価を支払ってでも、そのサービスを受けたい」と感じさせ、マネタイズにつなげるための仕掛けが求められる。つまり、顧客に嫌悪感を持たれることなく、サービスへの対価を支払ってもらう仕掛けを生み出さねばならない。

     例えば、以下のいずれかに該当するような場合、顧客にとって対価を支払うことへの抵抗感は薄れる可能性があるだろう。

    <サービスへの対価を支払ってもらうための仕掛け(例)>

    • ちょっとした追加料金

     少しだけ追加料金を払うだけで、新たなサービスを利用できる

    • 支払いを将来へ先延ばし

     既存の月額料金に組み込むことで、1回の支払いが低額で済む

    • 割安感あるお得サービス

     ポイントや特別サービスといったメリットの方が際立っている

    • 他よりも安いという比較

     比較すると他サービスより安い

    • 目的との直結感醸成

     少々高くても、このサービスであれば目的を実現できると思わせる

     

     サービス料を支払う行為もカスタマージャーニーの一部である。CXの中で、顧客にいかに気持ちよく対価を支払ってもらうかという戦略を立てていく必要があるのだ。「いかに良い体験をしてもらうか」だけでなく、「料金を払ってでも使いたい」と感じてもらう仕掛けを組み込むことも、ビジネス成功の鍵を握っている。

    増やすべきは「検討する立場」×「時間軸」

     デジタルビジネスを成功させるためにはCXを磨き上げることが必要だが、顧客を深層理解するためには前節で紹介した「3次元顧客分析」の考え方が有効だ。そして理解を深めた先、顧客に刺さるサービスにまで昇華させるには、「検討する立場を増やすこと」がポイントとなる。様々な顧客の視点に立つことはもちろん必要だが、同様のサービスを展開している競合の視点と、このサービスを最も売りたいと考えている自社部門の視点も加えて検討すると、それぞれの観点から得られたインサイトの突き合わせ確認ができる。

     3C分析のような従来のフレームワークを用いろと言っているわけではない。通り一遍の3C分析をするだけでは、顧客に刺さるサービスへ昇華させるのに程遠い成果しか生まないであろう。

     例えば「競合はこんな取り組みをしている」と情報収集するだけでは、観察の域を出ていない。「なるほど。競合はこういう目線で検討したから、このサービス提供にたどり着いたのか!」という具合に発見や驚き、すなわちインサイトを得ていかなければ、競合と差別化できる要素を盛り込めたとしても、顧客に刺さるサービスへの昇華は期待できないのだ。

     デザインシンキングの手法の一つとして「エスノグラフィー」がある。あるコミュニティに入り込み、行動を詳細に観察することでインサイトを見出していくやり方である。

     相手目線で観察するため、「そんなことが問題だったのか」と気付きやすい点が特徴だ。このエスノグラフィーの考えに則って、顧客・競合・自社それぞれの立場に入り込んでいくと、サービスを磨き上げるヒントが見つかるかもしれない。

     そして、顧客に刺さるサービスであり続けるためには、検討する「時間軸を増やすこと」もポイントだ。たとえ現在の顧客に満足してもらえたとしても、現状サービスにあぐらをかいてはいられない。

     具体的には、現在の顧客視点でCXを磨いた後は、1年後、3年後、10年後といった具合に、将来の顧客についても連想しておくことだ。将来の顧客に対しても期待を超えるCXを提供し、将来の競合よりも一歩先行くサービスを展開するには、時代の先を読むことの習慣化が必要なのである。

     しかし、世の中の進化が早く、数年先の見通しを描くことも困難な現代において、10年後の未来まで想像することは容易ではない。常日頃からデジタルがもたらす未来を想像し、社内外の多様な人々と仮説を意見交換することが重要である。未来予測には妄想力も求められる。スジの良い仮説をぶつけ合うことで、妄想力も磨かれ、将来の顧客を先回りできる可能性が高まるだろう。

    できなかったことを実現してこそデジタルビジネス

     新規ビジネスを創造する場合の鉄則となるのが、既存ビジネスではできなかったことを実現するという考え方だ。これまでのビジネスのちょっとした延長と捉えられると、顧客を惹きつけるには心許なく、期待を超えるCXも提供し難い。生みの苦しみを味わう新規ビジネスだからこそ、インパクトのある打ち出し方をしたいところだ。

     そして、これまでできなかったことを実現していくために、デジタルテクノロジーの活用は欠かせない。日々進化するテクノロジーを使って、既存ビジネスとは違う価値を見出していく考えが重要となる。

     ただし、着実に価値を見出すためには、いくつかの気を付けなければならない点がある。

      

    • 青い鳥を追いかけない

     インパクトのあるビジネスアイデアは重要だが、画期的なアイデアを思いつこうと躍起になって取り組んでも、誰もが驚くアイデアを思いつける可能性は極めて低い。世界中の企業が新たなビジネスチャンスを狙っている今、世界でただ一つのアイデアにたどり着くことは難しいだろう。

     奇抜な発想でホームランを狙うより、デジタルリテラシーの着実な積み上げでヒットを狙ったほうが勝率は上がる。ただし、上述したように、既存ビジネスのちょっとした延長ではなく、できなかったことを実現していく考えを念頭に置いたうえで、ヒットを狙っていかねばならない。

      

    • ビジネスアイデアを閃かせる準備を怠らない

     「では、どうやってアイデアを出せばよいのか」という声が聞こえてきそうだが、多くの場合はアイデアを出す準備が足りていない。世の中を賑わせている新規サービスを実際に使ってみて、その良さを理解しておくことは、日頃からやっておくべきことである。デジタルのトレンドにアンテナを張っておけば、そこから連想して勝算の見込めるアイデアを閃きやすくなる。多くの先人が語っているように、アイデアは既存要素の新しい組み合わせだからだ。

      

    • 既存ビジネスにとらわれすぎない

     せっかく新規ビジネスの種を見つけても、既存ビジネスを担う部門と話を進めるうちに徐々にアイデアが収縮し、特異性が失われていくという事例は少なくない。社内からの反発にあうリスクを恐れて思い切ったアイデアが出ないのであれば、一旦既存ビジネスの制約を取っ払って考えたほうがよい。

     アイデアが閃いた後に、既存ビジネスとの差分を明確に整理していく手順がふさわしい場合もあるだろう。

     

     これらを踏まえたうえで、遊び心を持って取り組んでいくのだ。世の中の新規ビジネスを十分に研究し、良いところは存分に盗み、そして自社ならではのスパイスを効かせていく。遊び心の詰まったスパイスは、既存ビジネスの枠組みから抜け出せない凝り固まった人達を揺り動かす刺激ともなるだろう。逆説的だが、既存ビジネスの枠組みから抜け出せて初めて、既存ビジネスがつくり上げてきた自社アセットを生かすことができるのだ。それが、これまでできなかったことを自社流に実現する道を切り拓いていく秘訣だ。

     そして最後の決め手となるのが、デジタルビジネスに取り組む自分達が、そのビジネスの一番のファンであることである。思わず人に話したくなるようなワクワクする要素を盛り込む。そのビジネスで成し遂げたいことを決める。そうすると、覚悟を決めて全力を尽くせるようになる。感動CXを届けてみせると覚悟を決め、顧客のために何としても実現しようと取り組む熱いパッションこそが、デジタルビジネス成功の最後のピースとなるはずだ。

    Baycurrent-Digital_Practice03-3

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      • Practice02-3.立ちふさがる「2025年の崖」に向き合う

      Practice02-3.立ちふさがる「2025年の崖」に向き合う

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      デジタルインテグレーションへの到達を阻害する「2025年の崖」

       DXは民間企業だけの課題ではなく、経済産業省はMETI DXと題して政策提言を行っている。2018年に発表した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」(以下、DXレポート)は、その課題の具体性と緊急性の高さから、大きな衝撃とともに注目を集めた。

       DXレポートの主題となっている「2025年の崖」は、既存システムが老朽化・肥大化・ブラックボックス化しているレガシー問題と、DXを実現するためのデータ活用の問題を大きく取り上げており、2025年以降になると年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると指摘する。これは2018年時点と比べ、約3倍の損失額という計算になる。

       稼働期間が20年を超えた基幹系システムがレガシーと呼称されるが、経産省は2025年になるとこのレガシーシステムの割合が国内企業の6割を超えるとし、システム刷新を集中的に推進しなければならないと警鐘を鳴らしている。

       DXを実現しようとする企業では「攻めのIT」にも注力が必要であり、守りと攻め各々にかける予算を6対4にすることが望ましいとされる。現在は多くの企業が「攻めのIT」にかける予算をなんとか捻出している状況にある。しかし、長い目で見ると「守りのIT」にかける予算を大幅に削ぎ落とさなければ、投資原資が底を尽きかねない。そのためにもレガシーシステムを刷新することは急務なのだ。

       「2025年の崖」で指摘されている問題は、ベイカレントがDXにおける重要なマイルストーンと位置付ける「デジタルインテグレーション」を実現するためにも無視できないものなのだ。なぜならば、既存モデルを変革するレベルに到達する2ステップ目のデジタルインテグレーションは、基幹システムに外部のデジタル要素を融合(インテグレート)していくことになるため、レガシー化したシステムの刷新を済ませておく必要があるからだ。

      レガシー刷新を阻む様々な障壁

       レガシーシステムを刷新しなければ、老朽化、肥大化、ブラックボックス化といった問題を抱えたまま、システムのお守りをすることになる。

       しかし、問題を抱えたレガシーシステムを刷新することはその困難さゆえに、多くの企業が頭を抱えている。まずは刷新プロジェクトにはどんな障壁があるのかをあらかじめ整理しておくことが肝要だ。

       複雑な基幹システムを刷新するには多くの時間とコストが必要となる。世の中の事例を見ても5年以上の期間や数百億円以上のコストをかけている企業は多いが、その中には頓挫した事例や、当初想定していた期間を大幅に延伸しなければなくなった事例もある。

       なにゆえシステムの刷新は、このように難しいのだろうか。そこにはヒト・モノ(システム)・カネに加えて“リスク”の障壁も存在する。

      障壁となる事項を整理し、必要な対策を練って挑まなければ、崖を越えられる日は来ないであろう。

      • 膨大なコストを許容できないカネの障壁

       レア機能まで含めて丸ごと刷新しようとすると、膨大なコストがかかることは必然だ。コストを削ぎ落とすという観点では、ノンコアな機能をどこまで担保するかはよく考えたほうがよい。数か月に1度しか使わない機能であれば、断捨離することも必要だろう。

       費用対効果を求めすぎてしまうことも懸念材料だ。レガシー刷新は、直近のリスク回避や将来の「攻めのIT」に対する準備という目的もあるため、定量的な効果だけでは判断できないことが多い。にもかかわらず、目に見える効果に見合った投資額、つまり社内で納得してもらえる費用感までコストの削減を迫られた結果、実現性の乏しい刷新計画を作ってしまう場合もある。その結果、後工程で重大なひずみが生じ、当初の想定以上のコストをもって挽回することになるかもしれない。

      • IT人材の能力不足が露呈しているヒトの障壁

       設計能力を持った人材は明らかに不足している。若手を始めとする基幹システムを1からつくった経験のない人材は、システム全体を俯瞰して見ることが難しいため、レガシー刷新において重要なグランドデザインを描く能力を備えているとは言い難い。大規模プロジェクト特有のマルチベンダー体制を束ねるための、マネジメント能力を持った人材が不足していることも問題だ。

       社内で適任者が揃わない場合は、外部人材の採用も考えた方が良い。

      • 現行踏襲という魔の言葉に踊らされるシステムの障壁

       発生頻度の低いレアな業務まで現行通りの仕様を追求すると、複雑化したあらゆる業務を漏れなく設計・構築するはめになり、膨大な追加工数が発生する。事業部門と合意を取りながら刷新する機能を削っていくことも、成功における重要なポイントだ。

       現行ドキュメントがないという問題に対して、バカ正直にプログラムから現行調査を始めると、途方もない工数がかかる。正しくドキュメント化できる保証がないのであれば、新たに1から設計する考えも必要だ。

      • 経営層の決意をにぶらせるリスクの障壁

       リスクの高いレガシー刷新プロジェクトにあえて取り組むよりは、今まで通りのhほうが得策と考えてしまうことも多い。しかし、レガシー刷新のリスクが消えることはないため、不退転の覚悟を持って進めなければならない。

       リスクにとらわれた考えは、新しいビジネスを創出する際の足かせとなって自由を奪ってしまう。スピード感のあるビジネスをするためには、昔ながらのシステムでは間に合わない。レガシーシステムを作り替えることは必須と心得ることが重要だ。

        

       迫りくる障壁を整理し、必要な対策を盛り込んだプロジェクトを立ち上げる。そのうえで、次なる一手はどう進めればよいか。押さえておくべきポイントを次に見ていきたい。

      レガシー刷新を成功に導くポイント

       必要な対策を盛り込んでいくために、ベイカレントでは難しいレガシー刷新をどのように推進すべきかを議論し、その要諦をまとめた。前述したヒト・モノ(システム)・カネ・リスクの障壁を越えていくには、目的をもって行動せねばならない。

      <レガシー刷新プロジェクトにおける7つの行動指針>

      • リスクインパクトで語る

       レガシー刷新プロジェクトは、業務部門の要求に応えるシステム開発プロジェクトとは一線を画す。刷新はマストなのであり、費用対効果が見合わないからといって避けられるものではない。

       グランドデザインができる人材をアサインし、刷新を先延ばしにするとどんなリスクがあるか、難しい刷新プロジェクトにはどんなリスクがあるかを洗い出すことが重要となる。

      • 本当のコストを見抜く

       刷新は多くのコストがかかるにもかかわらず、費用対効果を説明しづらいことから、コスト削減が迫られることが少なくない。ベンダー側は大きな売上が見込めるため、コンペに勝ち残るべく他社よりも安い金額で提案しようと必死になる。すると、「本来そんな額ではできない」といった金額までチキンレースが始まり、受注後にプロジェクトが炎上するという事態も起きてしまう。誰かが全体俯瞰した目線で、きっちりと必要なコスト全量を見極めなければならない。

      • 隅々まで断捨離する

       現行プログラムを正確に仕様書に落とし込むことは大変重要であるが、すべてのプログラムを対象とすると、現行調査だけで湯水のように工数を垂れ流してしまうことにもなりかねない。ノンコアな業務は現行踏襲にこだわる必要がなければ、なるべく対象外とした方がよい。

       また、システム開発で定義している成果物ラインナップを、すべて揃えるべきかという点にも疑問の余地がある。その成果物が次のフェーズでどう活用されていくのか。特に効果を発揮しない成果物であれば、自社のガイドラインに載っているものであっても無用の長物かもしれない。

      • 成果物の流れを俯瞰する

       大勢の人が参画する刷新プロジェクトにおいて、成果物がどう活用されていくかを整理することが重要だ。

       ムダな成果物をたくさんつくって結局後工程で使われない、という事態を防ぐ効果がある。その成果物が、後工程のどの部分で活用されていくのか、アウトプットの流れを設計しておくのである。

      • ⑤少しずつ確実に積み重ねる

       システム更改には通常、数年間を要するため、複数のステップに分けてリリースしていくケースがほとんどだ。そこには現行業務の都合、プロジェクトを担うIT側の都合が関与するが、何のために刷新するのかという目的観に立って検討することも大切な要素となる。

       デジタル化に対応するために最優先でクラウド化する必要があるサブシステムがあれば、まずはアジャイル型で素早く乗せ換えてしまうというやり方もある。重要なのは刷新したサブシステムが本来の目的を実現することだ。デジタル化で成功した様が社内に広まると、次なる刷新へのモチベーションへとつながる。

      • 戻るべきときは戻る

       刷新は苦難の連続である。経験豊富な手練れを招聘し、万全の計画を練ったとしても、うまく進まないケースはあり得る。仮に基本設計フェーズが計画通りに終わったとしても、詳細設計フェーズに進んで大きな問題が発覚した場合は、思い切って基本設計をやり直すような判断も必要かもしれない。手練れを揃えたプロジェクトであっても、前提を取っ払って俯瞰できる人材は常に置いておいた方が賢明だ。

      • 品質担保する水際対策を設ける

       プロジェクトに想定外のことが起きていないか、品質に問題がある場合に気付けるチェックポイント(最後の砦)を設けておくことが必要だ。フェーズ間のトレーサビリティをチェックする、機能間I/Fのデータは漏れなく徹底的にチェックするなど、担当者の主観によらない第三者的チェックで、問題をしらみつぶしに探ってみるのだ。

       大規模な刷新プロジェクトを成功させるためには、十分な時間とカネ、そして経験豊富な人材が必要となる。しかし、全体を俯瞰し、プロジェクトを一枚岩に仕立てなければ、どこかでひずみが生じる。ここに挙げた7つの行動指針を着実に実行できる体制を取ることは、極めて重要なポイントとなるだろう。

      「2025年の崖」を越え、攻めと守りを両立させる3つのフェーズ

       崖を越えるということは、現在「守りのIT」にほとんどのリソースを投入せざるを得ない状況から脱皮し、攻めと守りを両立した状態になるということだ。

       しかし、それを一足飛びに実現することは難しい。まずは足元から一歩ずつ、3つのフェーズに沿って前進していくことがポイントとなる。

       フェーズ1では、守りから攻めに転じていくための準備を行う。攻めのITが動き始めたら、フェーズ2で少しずつ結果を出していく。そして攻めと守りを両立させられるフェーズ3に到達すれば、企業が目指すべきDXに向かってその姿があらわになってくるだろう。

       2025年までまだ時間があると悠長に構えていてはならない。歩み始める時は既に到来しているのだ。

      Baycurrent-Digital_Practice02-3

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          【タイトル】マーケットデザインは人々をどれだけ幸せにできるか。マッチング理論がもたらすミスマッチのない世界
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        12月25日発売のForbes Japan2月号に東京大学マーケットデザインセンター(UTMD)センター長 小島武仁教授と弊社 チーフエバンジェリスト 八木の対談が掲載されました。
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        Practice06-2.日本の信条に立ち返れ

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        企業は社会の公器である

         企業のあるべき姿というものを考えるとき、経営の神様と呼ばれた松下幸之助の言葉は示唆に富んでいる。例
        えば、こんな主旨のことを言っている。

          

        • 企業は社会の公器である。したがって、企業は社会とともに発展していかねばならない
        • 自分の会社だけが栄えることは、一時的にはあり得ても長続きはしない。共存共栄でなくては、真の発展、繁栄はあり得ない
        • 企業の社会的責任というのは、本来の事業を通じて生活の向上に貢献するということだ

         

           

         また、現代経営学の父と呼ばれるピーター・ドラッカーも「企業は社会の公器である」としたうえで、組織を社会に貢献させるために、3 つの役割が必要と述べている。

          

        • 自らの組織に特有の使命を果たす
        • 仕事を通じて働く人を生かす
        • 自らの組織が社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題解決に貢献する 


          

         企業のあらゆる経営資源は、すべて社会が生み出したものである。企業はこうした社会からの預かりものを
        資源として事業を営んでいる以上、社会に価値を提供するために存在し、社会の期待に十分応えられてこそ、
        社会から信頼される。「社会的責任(CSR)」といった受動的な姿勢ではなく、本業のど真ん中で社会課題を
        解決する事業を展開することこそ、企業の持続的な成長には不可欠だ、と経営の大家達は語っているのである。

        SDGs 志向の経営は、日本企業の DNA

         両氏が語ったSDGs志向の経営と、日本企業や日本社会の価値観が親和的であることは論を俟たない。近江商人の「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の「三方良し」の精神や、日本資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一の道徳経済合一説など、日本の資本主義の系譜を紐解けば、社会課題の解決は経営の根幹に据えられてきた。日本企業にとってSDGsとは、決して海外から輸入された概念ではなく、企業理念や社訓を礎に長らく意識し実践してきた取り組みが、別のかたちで具体化されたものとも言える。

         その親和性の高さを象徴するのが、例えば、ホンダのCVCC(複合渦流調速燃焼方式)エンジンの開発だ。

         ホンダが二輪車から四輪車に参入して間もない 1970 年代、アメリカでマスキー法と呼ばれる自動車の排ガス規制導入の動きがあり、自動車メーカー各社はこの法案に強く反対していた。しかし、常日頃「会社のことより、先に日本のため、人類進化のため」と語っていた本田宗一郎は、「マスキー法への対応は、自動車産業の社会的責任上なすべき」とし、同時に「神が与えてくれたビジネスチャンス」とも考えた。実際に、ホンダは総力を結集し、マスキー法をクリアする低公害エンジンを実用化した。マスキー法は廃案となったが、燃費の良いCVCCエンジンは高い評価を得て、ホンダは四輪車メーカーとして、確固たる地位を築いた。

         社会課題の解決を通じて自社の成長を実現するSDGs経営は、古くから日本企業に根付くDNAなのだと言える。

        日本企業の取り組みは、なぜ評価されないのか

         しかし、親和性が高いことと、足元で実行できているかどうかは別の問題だ。

         米フォーチュン誌が毎年発表する「Change the World」というランキングがある。社会課題を解決し、文字通り社会を変えている企業を讃えるものだ。2015 年から恒例となった同ランキングにおいて、上位を海外企業が独占する中、2019 年までにトップ 50 に入った日本企業はわずかにトヨタ、伊藤園、パナソニック、NTTに限られる。

         経営戦略論の権威、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授は、次のような考えを述べている。

          

        • 日本企業が実際に世の中を変えられているケースは少ない
        • 自己満足でやっているだけでは、社会に何のインパクトも与えられない


         悔しいが、この指摘は正しいと言わざるを得ない。既存の取り組みにSDGsが掲げる 17 の目標のラベルを貼るに留まっている日本企業が多いのも事実だからだ。

         また同教授は、日本がDXに後れを取っていることについて、次のように言及している。

        • 日本人はとても手際がよく、教育水準が高い。時間をかけて培ってきた技術力もある。にもかかわらず成長率や生産性が低いのは、驚くべきことだ
        • 背後にある最も大きな問題は、デジタルトランスフォーメーション(デジタルへの移行)への熱意があまりないことだと私は見ている。現在の企業はデジタル技術を生産や流通に使うことでデータを測定したり、分析したりすることが求められる。これができれば日本の会社も生産性が高まるはずだが、実際にはそうなっていない

         

         たしかに日本人の教育水準は高く、日本企業には誇るべき技術力がある。しかしながらSDGsにおいても、DXにおいても、世界で存在感を発揮できていない。今こそ日本の強みを再考し、高い目的を掲げたSDGsとDXをリンクさせ、インパクトあるSDGs 経営に舵を切るべきときだ。

         日本企業ならば、「企業は社会の公器である」との言葉の体現者として、その地位を取り戻せるはずだ。

        日本企業の再起動は随所で始まっている

         経済価値の強い創出力を、大胆な社会課題解決につなげる日本企業は既に現れ始めている。その取り組みは、前節で取り上げた世界のSDGs先進企業と比べても遜色ないものだ。

          

        • ①トヨタ

         自動車メーカーからモビリティカンパニーへモデルチェンジすることを宣言しているトヨタは、新たなコネクティッド・シティをつくる「Woven City」構想を発表し、世界を驚かせた。ウーブン・シティとは、「人々が生活を送る
        リアルな環境のもと、自動運転、モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム、AIなどを導入・検証できる実証都市を新たに作る」プロジェクトである。社会に貢献するために新たな未来を模索しているトヨタの代表的な取り組みと言えるだろう。

         2020 年 1 月にラスベガスで開催されたCES 2020 にて、豊田章男社長自らこのプロジェクトの概要を発表し、暮らしの中で必要となるあらゆるモノやコトがつながる新たな街づくりの構想に、世界が注目している。これまで不可能だったことを可能にするデジタルの力が発揮されるという意味では、DXの代表的事例になるであろう。

         静岡県裾野市に創られる新たな街は、環境との調和やサスティナビリティを前提に計画されている。建物の主な素材はカーボンニュートラルな木材を使用し、屋根には太陽光発電パネルを設置するなど、まさに社会課題解決とDXを融合させ、自社の成長をも実現するSDGs 経営を体現するものだ。世界初のコネクティッド・シティが日本に生まれるとなれば、日本企業の存在感を世界中に知らしめることは間違いないだろう。

         このような大掛かりなプロジェクトを推進できるトヨタの原動力は、経営者自らが社員へ発するメッセージから読み取ることができる。豊田章男社長の 2020 年の年頭挨拶は、トヨタイムズ(トヨタの自社媒体)で公表されているが、魂の込もった言説にはトヨタ社員でなくとも心を打たれるものがある。トップが腹を括り、見えない未来への道筋を模索する姿は、社員に絶大なインパクトを与える。トップの想いに共鳴し、自分も変わりたいと思う人間が増えれば増えるほど、企業としての総合力は上がっていくはずである。

          

        • ②パナソニック

         パナソニックは 2014 年 11 月 27 日、神奈川県藤沢市に「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(Fujisawa
        SST)」をオープンした。これは 100年続くサスティナブルな街をつくるという壮大なプロジェクトである。オープン5 周年となる 2019 年 11 月時点で約19haの広大な敷地に戸建住宅街区(561 戸)が完成し、1900 人を超える住民が生活を営む街に成長した。

         エネルギー面の取り組みにおいては、CO2 削減目標を 70%(1990 年比)と掲げ、全戸建住宅に太陽光発電・蓄電池・家庭用燃料電池「エネファーム」を備え付けるなど、快適な暮らしを提供しながら環境面での社会課題解決を目指している。

         また、セキュリティ面では、安心・安全な暮らしを守りながら、周辺地域にも溶け込んでいくためにパナソニックのデジタルテクノロジーを駆使する。入口に不審者の進入を禁止する物理的な門を設けるのではなく、見守りカメラやセンサー付きLED街路灯などを活用した「バーチャル・ゲーテッドタウン」というシステム構築を進めている。

         2020 年 3 月からは IoTやAPIで消費電力・サービス利用状況等を連携する新しい取り組みを始めるなど、パナソニックは家電メーカーの域を超え、新たなエコシステムを先導する役割を担っている。

          

        • ③オリックス

         オリックスは、従来の事業を一歩ずつ社会課題解決に結び付けていくスタンスをとる。例えば太陽光発電においては全国的な導入を推進し、今や日本トップ規模の太陽光発電事業者となっている。他にも、木質チップ専焼発電を行う「吾妻木質バイオマス発電所」(群馬県吾妻郡東吾妻町)、「別府温泉 杉乃井ホテル」(大分県別府市)における自家用では国内最大規模の地熱発電所の運営を始め、東京大学とのブロックチェーン技術を活用したトラッキングシステム(再生可能エネルギー由来の電力の発電地や供給者などを履歴で証明する)の共同研究などにも取り組み、再生可能エネルギー普及を推し進める。


         オリックスの「統合報告書 2018」には、「今後、国全体として、太陽光発電に偏重せず、よりバランスの取れた形での再生可能エネルギーの導入が進むと考えられ、オリックスもその一役を担うことにより、脱炭素社会への移行に貢献していきます。地熱や風力の分野でも、国内トップ規模の再生エネルギー事業者としての地位の確立を目指します」とある。

         これは、国と一体となって社会課題解決の高い目標に挑む覚悟の表明だと言える。

         日本企業の高い技術力は、目標を掲げて着実に取り組めば、世界に波及する大きな変革につながる可能性を秘めている。

         上記 3 社は一例に過ぎないが、いずれも高い目標を掲げたうえで取り組みを進めている点が特徴的である。「良いことをしている」と宣伝するだけでなく、本腰を入れてSDGs 経営に挑んでいるのだ。

         「企業は社会の公器である」の体現者として、日本企業の再起動が既に始まっている。

        Baycurrent-Digital_Practice06-2

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          • Practice05-2.アジャイルが築く持続的変革の土台

          Practice05-2.アジャイルが築く持続的変革の土台

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          ”アジャイル”は、システム開発手法だけを意味しない

           アジャイル(Agile)とは、「素早い」「機敏な」といった意味を持つ言葉であり、システム開発における開発手法の1つとして世に広まった。しかし、今ではアジャイルは変化対応を基軸とする価値観を表す言葉として捉えられている。その価値観が、環境変化の激しい今の時代にフィットするため、ワークスタイルといったビジネスのより高次な概念への応用が進んでいるのだ。

           アジャイル型のワークスタイルとは、何を意味するのだろうか。

           その理解には、2001年にソフトウェア開発の思想的リーダー達によって公表された「アジャイルソフトウェア開発宣言」と「アジャイル宣言の背後にある原則」に立ち戻るのが近道だ。

           アジャイル宣言の背後には、12の原則が存在する。その宣言と原則をワークスタイルとして咀嚼すると、以下のようになる。

              

          • 部門横断チームを組んで、意欲に満ちた人々と日々対話しながら一緒に働く
          • 実際に動くアウトプットを生み出すことこそが進捗である
          • 顧客満足を最優先し、顧客と強調しながら、価値あるアウトプットを速く継続的に提供する
          • 状況変化に対応するため、振り返りを高速で繰り返し、自分達のやり方を変えていく

           

              

           アジャイル型のワークスタイルとは、これらの価値観に沿って業務を進めていくことである。マネジメントの焦点を人とアウトプットにあてるこのワークスタイルの浸透は、社員各人の思考様式や行動様式、ひいては企業文化の一大変革を起こすものであると言っても過言ではない。

           そして、このアジャイル型のワークスタイルの浸透は、前節で述べた「攻める」オペレーションの価値をさらに高める。攻めの姿勢で得た顧客変化の予兆を、部門横断の取り組みでビジネス全体の変革につなげる。また、その取り組みの中で、変化を是とするマインドセットも身に付けていくのである。

           このように、環境変化の激しい今の時代にこそ求められるアジャイル型ワークスタイルだが、その浸透は容易ではない。トップからのアジャイル導入指示だけでは、何も変わらない。その浸透を図るには、文化と制度の両面からアプローチすることが不可欠となる。

          コーチングを核とした積み重ねで築くアジャイル文化

           アジャイルの教科書で定められたプロセスやテンプレートを表面上運用する”なんちゃってアジャイル”。これは、手段が目的化した失敗の典型である。組織文化の変革は、そんなうわべだけの取り組みでは成し遂げられない。

           文化は思考様式と行動様式で構成されるが、アジャイルの効用を熱心に説いたとしても、それだけでは思考様式は簡単には変わらない。アジャイルの原則に沿った行動を地道に繰り返し、その過程で気付きを得ながら、長い期間をかけて現在の思考様式を上塗りしていくしかないのである。

           まずビジョンを策定し、ルールやプロセスを理解させたうえで、コーチングを伴う運用を積み重ねるのだ。その積み重ねの過程で、アジャイル文化が徐々に浸透していく。

           ビジョンについては、「アジャイルソフトウェア開発宣言」と「アジャイル宣言の背後にある原則」を拠り所としつつも、自社独自のアジャイル憲章を策定するべきである。お飾りの憲章で終わらせないために、社内規定化まで踏み込んでよいかもしれない。

           また、アジャイル型ワークスタイルのルールやプロセスを理解させることも必要だ。新しいワークスタイルの教科書にあたるガイドブックを整備し、アジャイル型で進めていくための体制、業務サイクル、成果物などを理解させる。アジャイル型の導入とともに組成していく部門横断の変革チームメンバーには、参加体験型の研修メニューを用意するのも有効だろう。

           そして、最も重要なのがコーチングだ。そもそもアジャイル型のワークスタイルは、実際に行動し、振り返りながら浸透していくものである。ゆえに、メンバーの思考・行動の変革に焦点をあてるコーチ役の存在が不可欠である。コーチはメンバーを導くとともに、時には新しいワークスタイルが十分に身に付いていないメンバーを補完し、横断変革チームの調整弁としての役割を担うこともある。

           しかし、積み重ねが重要とは言っても、闇雲に取り組んでは意味がない。正しい方向へと歩を進めていくことが肝要だ。そのためにも、自分達で定めたビジョン(アジャイル憲章)、ルールやプロセスが社員各人に正しく理解されているか、それらに則ったコーチングがなされているか、常に検証する姿勢が求められる。

          アジャイル浸透の壁を突破する3つの組織制度変革

           アジャイル型のワークスタイルを円滑に浸透させるには、組織制度の変革を併せて進めなければならない。意欲に満ちた人材を部門横断的に集め、それぞれのメンバーにしがらみなく、主体的に行動してもらうことが不可欠だからだ。

           その第一歩は、横断変革チームの組成におけるリソース確保を制度化することである。

           一定以上のマインドセットとスキルを持った人材を集めようとすると、本業との兼ね合いから、どうしてもリソース確保が中途半端になりがちである。そこで、社内公募や部内での推薦を基礎としつつも時には最適人材の一本釣りをも制度化し、リソース確保を担保する必要がある。

           次に、横断変革チームがしがらみを突破するための権限移譲を制度化することである。既存モデルの変革を行う組織である以上、既存の枠組みにとらわれない権限の付与が必要である。

           例えば、商品・サービスやオペレーションの更改権限、それにかかる予算執行の権限、サービスリリースの承認権限、社内外のデータ利活用の権限などが考えられる。

           これらの権限があってこそ、横断変革チームのメンバーはしがらみを乗り越えることが可能となる。この権限移譲は、社内の力関係を大きく変化させることになるため、経営トップが断行せねばならない。

           3つ目は、主体性を引き出すための評価制度の刷新だ。評価制度は社員の行動インセンティブに直結するとともに、経営陣から社員へのメッセージともなる。具体的には、横断変革チームごとの「成績目標(KGI)」を設定し、達成度によってチームに報酬を与えるという制度は有効だろう。また、アジャイル憲章、ルールやプロセスに基づいた「行動評価・貢献度評価」の仕組みの構築も有効だと言える。特に「行動評価・貢献度評価」はチームメンバーの意識改革に重要である。このような取り組みを進めると、横断変革チームを贔屓しているという不満の声が上がったとしても、アジャイル文化の浸透に向けては、経営トップが責任を持って断行せねばならない。

           アジャイル型のワークスタイルへの転換は、これら3つの組織制度の整備がなされてこそ成し遂げられる。それが経営陣の役割であることは明白だ。しかし、そこに経営陣任せにしない社員各人からの突き上げがあるならば、アジャイル文化の浸透は加速することになるだろう。

          アジャイル型がもたらすEXとCXの向上

           アジャイル型ワークスタイルの実現に向けては、いくつもの障壁を乗り越えていく必要があるが、その過程で起こり得る前向きな変化についてここで触れておきたい。それは、EX(エンプロイーエクスペリエンス)とCX(カスタマーエクスペリエンス)の向上につながる大きな変化だ。

           顧客満足の向上に直結する横断変革チームに参加できることは、自分が会社の重要な取り組みの一翼を担っているという実感を与え、それがやりがいにつながっていく。そして、そのやりがいが、継続的な変革活動を自分事の取り組みに変容させていくだろう。結果としてCX向上につながる変革を起こすことができれば、大きな達成感を得ることもできるし、歩みを振り返ることで自己成長も実感する。この一連のEXが社員満足度を高め、企業の一体感を生み出し、ひいては自社を組織として強くするのだ。

           オランダの金融機関INGなどは、まさにこれを体現している。マーケティング、プロダクト、営業、データ分析、ITなど多様な部門の代表者で横断変革チームを組成し、CXに関わるすべての課題について、アジャイル型ワークスタイルで取り組んでいる。

           そして、そのアジャイル型変革の中で積み重ねられるEXこそがCX向上に必要な要素と捉え、社員が自社をどれほど信頼しているか、どれほど貢献したいと考えているかという社員エンゲージメントを重視している。

           実際に、社員エンゲージメントを四半期ごとに計測しており、変革進捗の重要指標としているのである。

           アジャイル型ワークスタイルと、それを通じて成し遂げられるEXとCXの継続的進化。いずれも勝ち続ける企業には不可欠なものだ。アジャイルとは、単なる開発手法ではない。企業の持続的変革の土台そのものと言えるのである。

          Baycurrent-Digital_Practice05-2

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